フェタ

最終更新日:2021/04/15  

 

健康志向の高まりから日本でも地中海式の食事への関心は確実に広まっています。

 

2010年にユネスコから地中海料理として無形文化遺産に登録されたギリシャ料理。

 

そのギリシャ料理で絶対に欠かせないのがフェタというギリシャ産のチーズです。

 

フェタの歴史はギリシャ神話の時代にまでさかのぼります。

 

そして、フェタチーズは今も世界中で愛されています。

 

この記事は、フェタにスポットを当て、フェタの基礎知識や食べ方、楽しみ方をお伝えします。

 

 

フェタの基礎知識

フェタチーズ

 

チーズの分類;フレッシュチーズ

産地:ギリシャ(マケドニア地方ほか)

原料乳:羊乳(山羊乳を最大30%混乳可能)

固形分中乳脂肪:43%

 

フェタは、ギリシャ原産のフレッシュタイプのチーズです。

 

ギリシャ

 

原料乳は主に羊のミルクで、最大30%まで山羊のミルクを加えることが可能です。羊乳の比率が高いほどリッチでクリーミーな味わいで、山羊乳を加えることで酸味や軽やかさが増します。

 

一般的にフェタの味わいは、フレッシュで爽やかな酸味に羊乳の優しい甘みがバランスよく感じられます。ハーブとの相性もよく、ハーブを効かせたフェタのオイル漬けも定番です。

 

フェタは、基本的に塩漬けされた状態で出荷されるため、食べる前にチーズの塩抜き作業が必要なチーズです。

 

フェタと同様の製法のチーズは、ギリシャ以外でも生産されており牛乳製のものもあります。しかし、2002年にフェタがPDOに認定されたことにより、現在はギリシャ産以外の商品にフェタ(Feta)の名称を使うことは禁止されています

 

 

フェタの名前の由来

 

フェタは、イタリア語で「スライス」を意味する「Fetta」に由来します。

 

これは、フェタを塩漬けする際に生地をスライスすることから来ていると言われています。

 

フェタという名称が広まったのは19世紀以降で、それまではフレッシュを意味する「Prosphatos」と呼ばれていました。

 

 

フェタの歴史

フェタ 歴史

 

ギリシャのチーズは神話の時代から記録が残っています。

 

紀元前8世紀に書かれたとされる詩人ホメロスの「オデュッセイア」の中に、一つ目の巨人キュクロプスが住まいの洞窟内で羊乳を使ってチーズをつくるのを目撃したと記されています。

 

そして、これがのちにフェタのレシピになったとも言われています。

 

19世紀の末まで、フェタは主に地元で消費されていましたが、それ以降海外にも輸出されるようになりました。

 

人気はどんどん高まり、フランス、ドイツ、デンマークなど他の国でもフェタがつくられ始め牛乳製の類似品も横行し始めます。

 

危機感を持ったギリシャは、1994年1月に欧州委員会に「フェタ」の名称でチーズを登録申請し、1996年にPDOに登録されます。

 

しかし、デンマーク、ドイツ、フランスはフェタという名称はすでに多くの国で使用されており、一般的であるとして欧州司法裁判所に登録を無効にする訴訟を起こし、フェタの登録は取り消されます。

 

しかしその後、ギリシャでつくられるフェタは他国とは違う独自のものであるとして2002年10月に再度PDOに登録されました。

 

これによってフェタという名称で生産を行っていた他国の生産者は、5年以内に名称を変更するか、生産を中止することになっています。

 

現在は、ギリシャの特定の地域で伝統的手法で育てられた羊か山羊(最大30%まで)のミルクを使い、かつ伝統製法でつくられたものだけがフェタとして流通しています。

 

 

フェタの作り方

 

原料乳は基本的に羊乳100%ですが最大30%まで山羊乳を加えることができます。

 

まずは、ミルクを乳酸菌と凝乳酵素で豆腐のように固めた後、それを1~2cm大の立方体にカットします。

フェタ 作り方

 

カットした塊を型に入れ、反転や加塩をしながらホエイ(水分)を排出します。

 

出来上がった生地を塩水の中に2か月間置き、2~5℃で冷蔵保存されます。

フェタ 作り方

 

ただし、熟成期間や方法は生産者によって異なります。例えば、塩水に浸ける代わりに海塩をチーズにまぶし木樽で6か月以上熟成させたものもあります(かつてはこの方法が主流)。

 

フェタの切り方

フェタ 切り方

 

ナイフや包丁(なるべく刃の薄いもの)で好みのサイズにチーズをカットします。

 

また、フェタは組織が脆く崩れやすいので、ハンドリナーという針金を使うのもおすすめです。

ハンドリナー

 

 

フェタの保存方法

 

ラップでチーズをしっかりと包み、密閉容器かジッパー付きのビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。

 

フェタは、塩抜きすると劣化が早まります

 

塩抜きは、使う量をカットしてから、その都度行うようにしましょう。

 

 

フェタの賞味期限

 

フェタは塩漬けしてあるため、通常のフレッシュチーズより日持ちします。

 

しかし、熟成によって味が良くなるタイプのチーズではないので、なるべく早く食べきりましょう。

 

 

フェタの食べ方

 

フェタは食べる前に、まずは塩抜きの作業が必要になります。

 

 

塩抜き

使用する量を切り分け、容器に薄い塩水(1.5%程度)を入れ、一晩冷蔵庫で寝かせます

 

時間がない場合は、ぬるま湯か牛乳に漬けましょう。

 

 

 

フェタのオイル漬け

フェタをせっかく塩抜きするなら、ちょっと多めに用意して余った分はオイル漬けにしてしまいましょう。

 

冷蔵庫で1か月くらい日持ちますし、すぐにおつまみやサラダの具材として使えるので便利です。

 

作り方は、サイコロ型にカットしたフェタを瓶一杯に詰め、隙間にお好みでニンニクスライスやハーブ、唐辛子を入れた後に、オリーブオイルで満たせば完成です。

 

そのまま冷蔵庫で2~3日すると馴染んでどんどん美味しくなってきます。

フェタ オイル漬け

 

フェタは基本的にどのような料理にもよく合いますが、サラダとして食べるのが一般的です。

フェタ サラダ

 

1.5cm角くらいに小さくカットしたものを他の野菜とオリーブオイルとともに和えれば地中海風サラダの完成です。

 

 

フェタとお酒の相性

 

フェタは爽やかなサラダに仕立てることが多いので、すっきり辛口の白ワインやロゼワインがおすすめです。

 

今注目のギリシャワインと合わせてみてはいかがでしょうか。

 

食卓のアクセントにフェタチーズ

フェタ 食事

 

フェタはフレッシュでありながら保存性がよく、塩抜きという手間さえ慣れれば大変便利なチーズです。

 

味わいも程よい塩味と羊乳のコクがあり、フレッシュチーズでありながら存在感をしっかり出してくれます。

 

サラダに入れれば良いアクセントになり、テーブルもワンランクおしゃれな空間に。

 

晴れた爽やかな休日のランチに、ギリシャワインやハーブティとともにプチリゾート気分を感じてみてはいかがでしょうか。