最終更新日:2020/03/06
最近、チーズ専門店はもちろん、輸入食品店やスーパーでも見かけることがあるオレンジ色のブルーチーズ「シュロップシャーブルー」。
どんなチーズか気になっている人も多のではないでしょうか。
この記事では、シュロップシャーブルーとはどんなチーズなのか、産地や歴史、味の特徴や食べ方まで徹底解説します。
シュロップシャーブルーはイギリス産の青かびタイプの牛乳製のチーズです。
名前にシュロップシャーというイギリスの州の名前が付いていますが、実は生まれはスコットランドです。
1970年にスコットランドのインヴァ―ネスにあるCastel Stuart dairy というチーズ製造所で生まれました。当時は、“Inverness-shire Blue” や “Blue Stuart”と呼ばれていましたが、マーケティングの観点からよりブルーチーズの生産が盛んなイギリスの地名を付けたシュロップシャーブルーという名前で徐々に流通するようになりました。
1980年にCastel Stuart dairy は営業を停止してしまいますが、その翌年シュロップシャーブルーはイギリスで生産が開始されます。現在は、イギリスのノッティンガムシャー州、レスターシャー州、シュロップシャー州などで生産されています。
シュロップシャーブルーには次のような特徴があります。
・生地のオレンジ色と青かびの青緑色のコントラスト
・青かびの刺激が穏やかで甘くマイルドな味わい
シュロップシャーブルーの特徴的なオレンジ色の生地は、アナトー色素という天然由来の成分で着色されています。青かびの青緑色との対比は互いの色をより鮮やかに引き立たせています。
シュロップシャーブルーは、スティルトン(イギリスの代表的なブルーチーズ)の製法を元につくられています。それゆえ、チーズの特徴は大変似ています。
しかし、食べ比べるとスティルトンとは以下のような違いがあります。
・スティルトンよりも生地の水分が多く、質感はよりねっとりしている。
・シュロップシャーブルーの方が、より辛味や酸味が穏やかで甘みが際立って感じられる。
シュロップシャーブルーはスティルトンよりも辛味が優しくマイルドな印象です。
シュロップシャーブルーは辛味の穏やかなマイルドなブルーチーズですので、様々な食べ方ができます。
そのまま食べる場合は、ぜひ薄切りのバゲットやクラッカーを添えて楽しんでみてください。シュロップシャーブルーの余韻に残る苦味や牛特有のクセが消されてより美味しく感じるはずです。
他にも、はちみつ、ドライフルーツ、ナッツの付け合わせは鉄板です。
また、シュロップシャーブルーは鮮やかなオレンジ色なのでサラダなどに入れると良く映えます。生地ももろいので、そぼろ状に崩してサラダやスープの仕上げに入れると面白いアクセントになります。
他にも、チーズトーストやグラタンなど、いつものシュレッドチーズに合わせてシャロップシャーブルーを少し入れるだけで風味が複雑になります。
イギリスのチーズということもあり、ポートワインやビールは定番ですが、例えば他に下記のような飲み合わせがおすすめです。
・ビール(ブラウン系の濃いめ)
・ワイン(果実味豊かな濃いめの赤ワイン、甘口ワイン、ポートワイン)
・日本酒(甘め)
・ウイスキー
・紅茶(生姜やシナモン、はちみつなどで甘辛くするとよりマッチ)
あくまで一例ですが、迷ったらぜひご参考ください。
18世紀初頭に誕生したスティルトンに比べ、シュロップシャーブルーはまだ誕生から50年程度の若いチーズです。
このシュロップシャーブルーのように、伝統的なイギリスチーズの特徴を引き継ぎながら現代によりマッチした形に変化させた新しいチーズが注目されています。失っていた伝統的な製法が見直されたり、新しいチーズの研究も積極的に行われているようです。イギリスのチーズ生産者も増え続けています。これからもイギリスらしさを感じる魅力的な新しいチーズが生み出されるに違いありません。
上で見てきたように、シュロップシャーブルーはブルーチーズの中で特に親しみやすいチーズです。今後日本でも人気がさらに高まるのではないでしょうか。