最終更新日:2019/03/27
「チーズは発酵食品で体にいいからたくさん食べても大丈夫!」
と言いたいところですが、チーズの食べ過ぎはやはり体に良くありません。
この記事では、チーズ好きだからこそ知っておきたいチーズの食べ過ぎによる健康へのデメリットをご紹介します。
チーズと長く健康に付き合っていくために、あなたもぜひ頭に入れておきましょう!
Contents
この記事では、前提としてチーズの摂取は健康によく、積極的に食べたい食品であるという立場に変わりはありません。
でも残念ながら、食べ過ぎるとやっぱり体によくない。
これはチーズに限った話ではありませんよね。
今からご紹介するチーズの食べ過ぎによるデメリットは、あくまで極端に食べ過ぎた場合の症状です。
決してそれら症状を恐れてチーズを控えるべきと言いたいのではないことをご理解くださいね。
チーズの食べ過ぎによって体に悪影響を与える要素に「塩分」があります。
チーズは塩分量の多い食品です。
塩分の過剰摂取は血圧の上昇を促し、慢性的に血圧の高い状態が続くと高血圧症を引き起こします。
それによって血管へのダメージが蓄積し、脳梗塞や心筋梗塞に繋がったり心疾患を導く可能性も高まります。
一方で、チーズには血圧を下げる働きもあります。
チーズに含まれるカルシウムやある種のペプチドが血圧の上昇を抑える効果があることがわかっています。
塩分排出を促すカリウムも豊富です。
チーズを食べるときは、他の料理の塩を抑えるなど食事全体の塩分量を少し意識するようにしましょう。
チーズの脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は血清コレステロール濃度を高めることが指摘されています。
つまり、チーズを食べ過ぎると血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪などが増加し、高脂血症や動脈硬化、さらには心筋梗塞へと進む可能性があります。
しかし、必ずしも乳製品の摂取が循環器系疾患に繋がるとは言い切れず、乳製品の摂取量が多いほうが循環器系疾患のリスクが低いと報告している論文もあります。
大切なのは、肉類など乳製品以外の飽和脂肪酸とトータルで摂取量を考えることです。
チーズに多く含まれるタンパク質や塩分は過剰に摂取すると肝臓や腎臓へ大きな負担をかけます。
タンパク質を摂りすぎた場合、体内でタンパク質は窒素に分解され、それを体外に排出するために肝臓や腎臓が働きます。
塩分も摂りすぎると、ナトリウムを尿として体外に出すために腎臓が酷使されます。
チーズの食べ過ぎで体内で過剰になったタンパク質や塩分が増えると、そのぶん肝臓や腎臓への負担も増し内臓疲労に繋がります。
動物性タンパク質の偏った摂取は、腸内の悪玉菌増加につながります。
チーズには、生きた乳酸菌も多く含まれプロバイオティクス効果もあります。
一方で、チーズを食べ過ぎると、チーズに含まれるタンパク質が消化されずに腸内に送られ、それが悪玉菌のエサになります。
それによって腸内の悪玉菌が増え、免疫力が低下して食中毒やウィルスに感染しやすくなったり、便秘や下痢、お腹の張りなどにも繋がります。
また、チーズの主なタンパク質であるカゼインは過剰摂取するとアレルギーを発症する可能性もあります。
そこで重要なのは食事のバランスを考えて善玉菌を増やす食べ方を意識することです。
善玉菌のエサになる食物繊維や乳酸菌も積極的に摂ることで腸内環境を整えましょう!
また、腸内細菌とは関係ありませんが、チーズを食べ過ぎて消化しきれなかった脂肪分は、腸を刺激してぜん動運動を活発化させ、下痢を引き起こす場合もあります。
さらに、「乳糖不耐症」も重要なキーワードです。
乳糖不耐症とは、乳糖を含む乳製品を食べると下痢、腹痛、お腹の張りなどを引き起こす症状です。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするヒトがいるのもこの症状のためです。
チーズに関して言うと、製造時にホエイとともにミルクに含まれる乳糖の大部分は取り除かれます。
ですので、基本的に食べ過ぎない限り乳糖不耐症の人でもチーズを食べて症状が出ることはありません。
ただし、乳糖を多く含むホエイからつくられる「リコッタ」やホエイを比較的多く含むフレッシュチーズの食べ過ぎには気を付けましょう。
チーズの成分は主に、脂肪とタンパク質です。
脂肪の摂取量が多いと、皮膚から分泌される皮脂も増え、それが酸化されニオイに繋がります。
また、上で挙げたように動物性タンパク質の摂りすぎは腸内環境を悪化させます。
腸内の悪玉菌が増え、それによって悪玉菌が発するアンモニアや硫化水素が増すことで、体臭が強くなります。
大事なのはやはり善玉菌のエサになる食物繊維も合わせて食べ、腸内細菌のバランスを整えることです。
熟成チーズには、「チラミン」という物質が含まれています。
このチラミンは、血管収縮作用があり、さらに血圧上昇、片頭痛の原因物質であることがわかっています。
チラミンは生体内で酵素によって代謝されますが、その度合いには個人差があり、その活性の弱い人はチーズを食べると頭痛を引き起こす可能性があります。
当サイトの他記事に書いたように、チーズは低糖質で代謝を促したり脂肪も蓄積しにくいなどの性質から基本的にダイエットにおすすめしたい食品であると私は考えています。
とはいえ、食べ過ぎれば当然太ります。
「チーズの食べ過ぎは危険というはわかった。でも食べ過ぎってどれくらいの量なの?」
きっとあなたはそう思ったはずです。
結論から言うと、何グラムが良いという決まった適量はありません。
これまで書いているように、食事トータルで各栄養素の摂取量を計るべきだからです。
そこで、チーズの食べ過ぎによって健康に悪影響を及ぼす大きな要素として「脂肪」「タンパク質」「塩分」に着目して各要素の一日の目安摂取量を見てみましょう。
脂肪の摂取に関しては、脂肪の質(脂肪酸)に着目すべきです。
脂肪酸には飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸があり、バランスよく摂取するのが良いとされています。
チーズの食べ過ぎで特に注意すべきは「飽和脂肪酸」の摂取量です。
厚生労働省が定める「脂質に関する食事摂取基準」によると飽和脂肪酸の摂取目標量は一日に摂取する総エネルギーの7%以下です。
平均的な女性の活動エネルギー(2000kcal程度)で計算すると、ゴーダチーズ約90gの量に相当します。
厚生労働省の食事摂取基準では、摂取目標量は年齢や運動習慣によって異なります。
仮に活動レベルが普通の30代女性の場合、タンパク質の目標摂取量は約70gです。
これは、ゴーダチーズの約270g分に相当します。
厚生労働省の食事摂取基準では、18歳以上の男性は一日当たりの塩分摂取を8g未満、女性は7g未満にすべきとあります。
さらに、高血圧予防のために6g未満の制限を勧めているとのこと。
6gの塩分量をゴーダチーズで計算すると、約300gに相当します。
こうやって見ると、たくさん食べても問題ないのではと思ってしまいます。
でも実際、私たちは日常チーズ以外にも様々な食材や調味料を摂取しますよね。
そして、上で述べたように健康のためにはバランスの良い食生活が重要です。
そのトータルでチーズに充てる配分を考えなければいけません。
神経質になる必要はないですが、ちょっと意識として持っておくだけでチーズの食べ方が変わってくると思います。
ちなみに上の数字を見ると、チーズの食べ過ぎで最も注意すべきは飽和脂肪酸の量であることが分ります。
※上で挙げた数字はあくまで例であって、個人によって目標量は異なります。
仮に厚生労働省が定める食事摂取量が正しいとすると、チーズを食べるときにその日全体でどれくらいの飽和脂肪酸を摂っているのかを意識してみると適量に繋がるかもしれません。
とはいえ、適量は人それぞれ違います。
重要なのは食べた後に自分の体調の変化に耳を傾け、自身の適量を探ることです。
ぜひあなたの現在の食生活にチーズを取り込みながら、あなたに合った適量を見つけてみてください。
上で見たように、チーズを過剰に摂取すると体に悪影響を及ぼす恐れもあります。
中には食べ過ぎ以前に乳製品の摂取自体を健康の悪と主張する人もいます。
しかし、それら情報には確かなエビデンスはありません。
特にチーズは発酵食品であり、乳製品の中でも特に分っていないことが多い食品です。
発酵によって生じる物質やカビなどが健康に与える未知のメリットもあるに違いありません。
それに心の栄養という意味で考えても、チーズとお酒のマリアージュや美味しいチーズ料理を楽しむ幸せな時間をつくることの方が食べ過ぎを気にすることよりも健康にプラスすると思いませんか?
ただその時に、この記事の内容をちょっと意識してみてください。
きっとあなたに合った健康的な食べ方に変わってくるはずです。