最終更新日:2018/12/21
ここ数年人気急上昇のチーズと言えば「ラクレット」でしょう。
すでにチーズ料理の定番として一部では知られていましたが、大きなチーズの表面を溶かして削り取る迫力の演出がインスタグラムなどで話題になり今ではラクレットを売りにした飲食店も増えています。
そんな人気急上昇のラクレットとはどんなチーズなのでしょうか?
この記事では、ラクレットの基礎知識と美味しい食べ方、そして自宅で楽しむラクレットパーティーの手順をご紹介します。
ラクレットの食べ方を知る前に、一体ラクレットとはどんな特徴のあるチーズなのでしょうか?
とろーり溶けるだけではないラクレットの特徴を見ていきましょう。
ラクレットの原産は、スイス南部のヴァレー州と言われていて、現在はスイス全土とフランスのアルプス山脈周辺地域で広くつくられています。
特にスイス・ヴァレー州でつくられる「ラクレット・デュ・ヴァレー(Raclette du Valais)」は、無殺菌乳を使い、より厳しい審査を通った高品質のラクレットでA.O.P.も取得しています。
ラクレットは、「削る」を意味する「ラクレ(racler)」という言葉から来ています。
その名の通り、暖炉にかざして溶かし、削り取ってじゃがいもやパンにかける伝統的な食べ方に由来しています。
ラクレットは、チーズ名であると同時に、溶かしたチーズをかけるスイスの伝統料理を示す場合もあります。
ラクレットというチーズ名は19世紀後半に生まれましたが、溶かして削る食べ方は16世紀ごろには広まっていたと言われています。
ラクレットはセミハード(非加熱圧搾)タイプの牛乳製のチーズです。
直径30センチほどの中型で、表皮は茶褐色でやや湿り気があり独特の芳香があります。
これは熟成中、塩水で表皮を拭きながら熟成させることでウォッシュチーズのような香りが加わるためです。
風味には、木の実やナッツそれにウォッシュ香とともに南国フルーツのような甘い印象も感じます。
一方、香りとは対照的に味わいはマイルドです。
「カードウォッシング」というゴーダチーズと同様の技法が使われるため、生地はしっとり弾力があり酸味の穏やかな優しい味わいが特徴です。
ちなみに、ラクレットはスイス産とフランス産がありますが、概してフランス産の方がマイルドでクセのない傾向があります。
上でご紹介したA.O.Pの「ラクレット・デュ・ヴァレー」は、より複雑で個性的な風味が特徴です。
ラクレットは、そのまま食べるよりも加熱して溶かして食べることで独特の芳香と生地の個性が活きてきます。
トーストの上にのせて焼いたり、チーズフォンデュの材料としてもおすすめでが、ラクレットはやっぱり溶かして食材にかける料理として食べたいところ。
とはいえ自宅で大きな塊を溶かして削り取る食べ方はなかなかできませんよね。
そこでおすすめなのが卓上型のラクレットオーブンです。
小さなフライパンにラクレットを入れて焼き、パンや好みの野菜や生ハム、ベーコンなどにかけて楽しみます。
ラクレットパーティーの手順は、とても簡単です。
一口サイズにカットした材料を用意して、チーズを溶かして具材にかけるだけ。
具材のじゃがいもは茹でる必要がありますが、生野菜やシャルキュトリーはそのまま、好みでラクレットオーブン上部のプレートで同時に焼いて楽しむこともできます。
では、ラクレットオーブンを使った食べ方の手順を細かく見ていきましょう。
オーブンで溶かすチーズと合わせて食べる具材を用意します。
チーズはラクレットをぜひ選びたいところですが、ゴーダなどの他のセミハードチーズでも代用可能です。
写真のように、チーズはのせるフライパンのサイズに合わせてスライスします。
また、青カビ、白カビ、ウォッシュ、シェーヴルなど色々な種類のチーズを揃えておくと、違った風味やブレンドする楽しさも味わえて一層盛り上がります。
ラクレットのおすすめはこちら
具材には、次のようなものがおすすめです。
バゲット、皮付きのじゃがいも(ゆでる)、ブロッコリー(ゆでる)、カリフラワー(ゆでる)、アスパラ(ゆでる)、トマト、セロリ、ピクルス、きのこ、生ハム、ベーコン、ほか好きな食材なんでも。
ラクレットオーブンやホットプレートでチーズを溶かします。
チーズは、一種類に限らず、他の種類のチーズをブレンドしても美味しいです。
さらに、コーンやマッシュルーム、ツナなどの缶詰を一緒に焼いても楽しめます。
また、ラクレットグリルの上部のプレートで野菜などを焼くと熱々でより美味しく味わえます。
チーズが溶けたら、それを具材にかけて胡椒をふって楽しみます。
チーズはすぐに固まってしまいますので、食感と風味を楽しむためにも具材にかけたら温かいうちに食べましょう。
飲み物は、断然辛口の白ワインがおすすめです。
赤ワインをラクレットに合わせるとタンニンが際立ってしまい双方の魅力が崩れてしまいます。
どうしても赤ワインを合わせるならピノ・ノワール種の渋みの穏やかな軽めの赤ワインを合わせましょう。
相性の王道は、同郷スイスの「シャスラ」や「シャルドネ」というブドウ品種のワインです。ミディアムボディのややコクのある辛口白ワインがおすすめです。
産地はスイス、フランス、北イタリアなど雪を連想させる産地のものを選ぶと雰囲気がより出ます。
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ラクレットは、焼いてこそ魅力を感じられるチーズです。
チーズを焼いて具材にのせて食べるラクレット料理は、スイスではチーズフォンデュと並ぶほど主流の料理です。
チーズの種類や食材のバリエーションを増やして楽しめば家族や友人と盛り上がること間違いありません。
日本ではまだラクレットを家で食べるイメージはあまりありませんが、ぜひラクレットパーティーのような自宅で楽しむ食べ方も試してみてください。