最終更新日:2019/04/15
チーズは最高のカルシウム供給源です。
チーズは、カルシウム含有量が多いだけでなく、体への吸収率も高く、その数字は小魚類の倍にもなります。
カルシウムを効率的に摂取したい人にチーズは大変おすすめな食材なのです。
ただ、あなたはこんなことを思っていませんか?
「骨を健康に保つことは大事だけど、骨なんて体を支えてるだけでしょ?」
私も最近まではそうでした。
でも先日、NHKスペシャルで骨に関する特集番組を見て考えが変わりました。
骨にはただの骨格では終わらない、驚くべき力があったんです。
そして、骨を健康に保つことは若さを保つことに繋がる。
逆に言うと、骨の健康をおろそかにすると一気に老け込んでしまいます。
では、骨は私たちの体にどんな良い働きをしてくれるのでしょうか?
これを知ればきっとカルシウムを取ることへの意識が上がります。
さらにこの記事では、最近の研究で明らかにされた新事実をお伝えします。
骨を強く健康にするにはカルシウム摂取だけではダメなんです!
骨は他の臓器にさまざまなメッセージを送っています。
骨からメッセージ?
いまいち理解しがたいですよね。
この番組によると、体の中の臓器はそれぞれがメッセージ物質を生み出す力があり、血管を通して他の臓器とメッセージを交換しながら上手く働いているのだそう。
これはすでに研究で明らかになっている事実で、今も新たなメッセージ物質の発見に大変な力が注がれているようです。
そして、骨からもメッセージ物質が出ていると。
そこで紹介されたメッセージ物質とは2種類。
「オステオカルシン」と「オステオポンチン」という物質です。
まあ覚えにくい名前です。
これらメッセージ物質は体に次のような効果を与えます。
「オステオカルシン」
↓
(脳が受け取ると)脳は記憶しようと働き、記憶力アップ、認知症防止
(筋肉が受け取ると)筋肉のエネルギー効率を高め、運動機能が向上、ダイエット効果にも繋がる
(精巣が受け取ると)男性ホルモンを増やし精子をつくる
「オステオポンチン」
↓
免疫細胞の量が増え、免疫力がアップし、病気やアレルギーになりにくくなる
つまり、骨は若さを司る大切なメッセージ物質を出しているということなのです。
よく高齢者で骨折をきっかけに認知症などの老化現象が一気に進んだなんてことを聞いたことはありませんか?
事実、高齢者の場合、大腿骨を骨折した4~5人に1人が1年以内に死亡するというデータもあるそうです。
つまり、骨折を機にそれらメッセージ物質が出なくなり、老化が急激に進んだことが原因と考えられます。
そう考えると、骨というのはとても大切な臓器であることがわかりますね。
では、骨を強く健康にするにはどうしたらよいのでしょうか?
骨を強くするには第一にカルシウムを取ること(チーズを食べること)。
これは誰しもが考えることです。
骨は毎日のように作っては壊しを繰り返しています。
骨はカルシウムの貯蔵庫と言われているように、体内にカルシウムが不足すると骨を溶かして補います。
また、骨には、骨を壊す「破骨細胞」と骨をつくる「骨芽細胞」があって、このバランスで骨が維持されています。
そして、先ほど紹介した「体に若さを与えるメッセージ物質」を出しているのが「骨芽細胞」なのです。
つまり、骨芽細胞をいかにして増やすかが重要になってきます。
この番組では、骨芽細胞を増やす秘訣は運動にあると言っています。
もっと厳密にいうと、「衝撃」です。
骨は衝撃を感知すると、骨芽細胞の量を増やそうと働くことが最新の研究で明らかにされました。
例えばある調査では、日ごろ自転車(骨に衝撃が少ない)を使っている人とランニングをしている人とでは、骨粗しょう症予備軍の患者数に3倍もの開きがあるという結果が出ています。
また、ある実験で、骨に一定の衝撃を与えるエクササイズを継続した結果、19人中18人の骨量が上昇したとの報告もあります。
つまり、骨を健康に維持するためには、カルシウム摂取に加え、運動をすることも大切ということなんです。
そういえば、バレーボールやバスケットボールをやっている人の身長が高いのも、そういう理由なのかもしれません。
よくジャンプをして骨に衝撃を与えているから骨芽細胞が増えて身長が伸びるのでしょうか…
ところで、骨粗しょう症の患者は男性よりも女性のほうが多いです。
それはなぜでしょうか?
雪印メグミルクのサイトから発見しました。(雪印メグミルクHP)
これは、単に骨格が小さいため体の中に蓄えられる骨量が少ないというだけではありません。
これには、女性ホルモンのエストロゲンが大きく影響しているようです。
このエストロゲンは、骨を壊す破骨細胞の働きを抑制していますが、閉経とともにほとんど分泌されなくなってしまいます。
これによって破骨細胞が暴走し、骨をどんどん壊し、骨粗しょう症へとつながっていくようです。
ここで効果を発揮すると紹介されているのが、「MBP」というチーズに含まれるたんぱく質の一種です。
このMBPは、骨芽細胞の働きを活発にすると同時に、破骨細胞の暴走を抑える力があるとのことです。
つまり、チーズにはカルシウムをただ供給する以外にも、骨を健康にする力も備えているんですね。
そして、このMBPを特に多く含むチーズは「リコッタ」というフレッシュチーズです。
リコッタチーズ以外にも、カッテージチーズなどホエイたんぱく質を多く含むフレッシュタイプのチーズがおすすめです。
もちろんこれはMBPの含有量の視点だけでのおすすめであって、チーズはどの種類も吸収率の高い上質なカルシウムが豊富に含まれています。
ですので、リコッタに限らず積極的にチーズを摂取することは骨にとって重要なことです。
要点をまとめると以下のようになります。
・骨は若さを司るメッセージ物質を出している。
・そのメッセージ物質は、骨芽細胞から出ている。
・骨芽細胞を増やすには、骨に衝撃を与えることが効果的。
・ミルクに含まれる「MBP」も骨芽細胞を増やす働きがあり、リコッタチーズに多く含まれている。
これまで見てきたように骨は思っている以上に私たちの健康にとって重要な役割を果たしています。
そして骨を丈夫に保つためにはカルシウム摂取に加え、運動をする(骨に衝撃を与えること)が効果的ということがわかりました。
もちろんカルシウムと骨の関係についてさまざまな考えを持つ研究者がいますので、これが100%正解とも限りません。
でも、これをひとつのヒントにして、例えばチーズを食べた後に意識的に軽くウォーキングなどの運動をしてみるのも良いかもしれません。
チーズの美味しさで幸せを感じるだけでなく、さらに骨が丈夫になって若返りにも繋がるのであれば言うことありませんよね?