最終更新日:2018/12/21
あなたは羊のチーズにどのようなイメージをお持ちですか?
「とりあえず、クセが強そう」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
確かに、羊のチーズは牛乳製のチーズに比べると特有の風味を強く感じる場合があります。
でも、クセを全く感じないチーズや、
逆にその風味が、ある食材と合わせることでプラスに作用する場合もあります。
つまり、羊のチーズは種類や使い方を理解していれば、とても魅力的なチーズなんです。
そこで、この記事では羊のチーズのきほんをご紹介します。
羊のチーズの旬や種類、食べ方などを理解して、ぜひ積極的に楽しんでみてください。
Contents
羊のお産の時期は2~3月がピークです。
なぜでしょう?
それは、羊の発情期が一年のうち秋だけだからです。
羊の発情は日照時間と大きな関係があり、夏至をすぎて日が短くなる9月から11月に起こります。
その時期に交配が行われ、冬の間に胎児を成長させ、春先に出産を迎えるというのが自然のサイクルです。
そして、母親は春に青々と茂る草をたくさん食べ、栄養たっぷりの美味しいミルクを子供に与えながら育てます。
よって、羊のミルクが量も質も最も良くなる季節は春なのです。
では、羊のチーズの旬も春なのでしょうか?
実は、羊のチーズは熟成期間の長いチーズが多く、必ずしも春が旬とは限りません。
例えば、
羊乳製のフレッシュチーズ「フェタ」は、塩水のなかで2か月間つけておく必要があります。
イタリア産の「ペコリーノ」は、熟成タイプのものですと最低4~5か月熟成させます。
スペイン産の「ケソ・マンチェゴ」は、大きいものになると60日以上の熟成期間が必要になります。
つまり、市場に出回っている多くの羊のチーズは、春から遅れた時期に出荷されます。
とはいえ、羊のチーズを楽しみたい一番の季節は「春」でしょう。
理由は、春の食材と大変相性が良いからです。
詳細は後半にご紹介します!
さて、それでは羊のチーズの特徴をここで一度理解しておきましょう。
羊乳は、牛乳よりも脂肪球が大きく、たんぱく質や脂肪分の含有比率が高いです。
つまり、歩留まりが良く、チーズづくりには適したミルクなんです。
味わいは濃厚で、牛乳製よりコクや甘みが増したものになります。
クセはありそうに思われますが、実はそれほど気になりません。
甘くてとても食べやすいチーズです。
羊のチーズの魅力は、牛乳製のチーズにはない甘やかでやさしい香りとコクのある味わいです。
産地としては、イタリア中部、スペインやポルトガル、南フランスのピレネー山脈周辺が有名です。
それでは、世界の有名な羊のチーズを見ていきましょう!
押さえておきたい有名な羊乳製チーズの種類をご紹介します。
チーズの名前は比較的知られていますが、このチーズが羊乳製であるとは意外と知られていません。
フェタは、ギリシャを代表するフレッシュタイプのチーズです。
通常販売されているフェタは、塩味が強く、食べるときは塩抜きして楽しみます。
日持ちもして、地中海風サラダには必需品の使いやすいチーズです。
ロックフォールは、南フランスのブルーチーズです。
世界3大ブルーのひとつで、大変品質の高い美味しいブルーチーズです。
塩味や青カビの風味は強いですが、余韻に感じる羊乳の甘みとコクがチーズの上品さを際立たせています。
フランスのピレネー山脈西部は、羊乳製チーズの産地です。
歴史も長く、中世から羊のチーズ造りが盛んに行われています。
その中で最も有名なチーズが、オッソー・イラティです。
セミハードタイプのチーズで、夏季に山で放牧された羊の無殺菌乳で造った「エスティーヴ」という表記のチーズもあります。
イタリアを代表する羊のチーズといえば、ペコリーノでしょう。
サイゼリヤのトッピングチーズとしても使われていて、あなたも聞き覚えがあるかもしれません。
ペコリーノは、イタリア語で羊乳でつくるチーズの総称です。
主に、イタリアの中・南部でつくられています。
このチーズは、「フレスコ」と呼ばれる熟成の浅いタイプと、熟成型のハードタイプがあります。
チーズのタイプに合わせて、そのまま食べても、すりおろしてサラダなどに合わせても楽しめ、使い勝手の良いチーズです。
スペインも羊のチーズの生産地として有名です。
その中で最も知名度の高いのが、ケソ・マンチェゴです。
「ドン・キホーテ」にも登場するチーズです。
特徴は、チーズ側面の茅を編んだような模様です。
羊乳特有の風味とわずかな辛味を感じます。
チーズ専門店に行くと、羊のチーズの種類は思ったよりたくさんあります。
そんな時、外国語で羊は何というかを知っているとチーズ名を見ただけでそのチーズが羊乳製だとわかるようになります。
覚えておきたい羊の外国語は次の4つです。
〇フランス語:brebis(ブルビ)
〇イタリア語:pecora(ペコラ)
〇スペイン語:Oveja(オヴェハ)
〇英語:sheep(シープ)
これらの単語がチーズ名やラベルに記載されていれば、そのチーズは羊のミルクを使ったチーズであることは間違いありません。
ぜひ参考にしてみてください。
先程ご紹介した通り、羊のチーズの味わいの特徴は、脂肪分からくる甘みとコクです。
そして、その味わいには、「甘み」や「渋み」のある食材がおすすめです。
例えば、春野菜。
塩ゆでにした旬のアスパラガスやそら豆にペコリーノチーズをすりおろすだけで、まさに春らしい一品が出来上がります。
春野菜のほのかな苦みと羊のチーズ特有の甘みがとてもよくマッチします。
また、チェリーと合わせるのも王道です。
例えば、「オッソー・イラティ」とチェリーのコンポートやジャムの組み合わせ。
羊特有の風味とチェリーの香りは相性が良いのです。
ワインと合わせるなら、コクありの赤ワインがおすすめ。
羊の脂肪分が赤ワインの渋みと調和します。
羊のチーズは、フレッシュタイプから青カビタイプ、熟成タイプ
クセの強いものから穏やかなものまでバラエティ豊富です。
そして、羊のチーズは牛乳製とは明らかに違う風味も感じられるので、チーズの盛り合わせの中にあると嬉しいチーズです。
ぜひお気に入りの羊乳製チーズを見つけて、料理やおつまみの定番に加えてみてください。