最終更新日:2019/04/12
スイス産のチーズで最も有名なもののひとつに「グリュイエール」というチーズがあります。
今や輸入食品店やレストランのメニューでもよく目にしますが、実際どんなチーズなのか意外と知られていません。
この記事では、グリュイエールチーズの知っておきたい基礎知識や食べ方をご紹介します。
Contents
チーズの分類:ハードタイプ(加熱圧搾)
産地:スイス西部(フリブール州、ヴォー州、ヌーシャテル州、ジュラ州、ベルン州の一部)
原料乳:牛乳(無殺菌乳)
グリュイエールは、スイス産チーズの中で最も生産量と人気の高いハードタイプのチーズです。
ナッツのような上品な香りとコクを感じる味わい。
比較的安価であることから料理にもよく使われる汎用性の高いチーズです。
「グリュイエール」というチーズの名前は、スイス西部フリブール州のグリュイエール村に由来します。
グリュイエールチーズの発祥は12世紀で歴史もあります。
かつては、スイス西部のほか、スイスに隣接するフランスのジュラ・サヴォワ地方のチーズも「グリュイエール」と呼ばれていました。
また、16世紀以降グリュイエールと称する類似品が横行し、2001年にA.O.C.を取得。
現在は、スイスの限られた地域で生産され、ミルクも無殺菌のものを使うなど一定の条件をクリアしたチーズに限り「グリュイエール(Gruyère)」と表記することができます。
ちなみに、フランスを代表するコンテというチーズだけは「グリュイエール・ド・コンテ(Gruyère de Comté)」という形でグリュイエールを名乗れる権利を持っています。
グリュイエールにも乳の品質や熟成期間によって以下のような種類があります。
熟成が5~6か月ほどのあっさりとしていてマイルドなグリュイエールチーズです。
通常出回っているグリュイエールはこのタイプです。
香り豊かでハードチーズならではのコクに加え、ほのかな酸味も感じる上品なチーズです。
10カ月以上熟成させたグリュイエールチーズには、「レゼルヴ」という表記を加えることができます。
ハードタイプのチーズは、熟成によって香りも味わいも複雑になり、コクや旨味も増します。
5~10月の夏季、スイスの山岳高地で放牧させた牛のミルクでつくったグリュイエールチーズです。
高地に生える新鮮な青草や花を食べた牛のミルクは、栄養たっぷりで香りも大変複雑です。
その上質なミルクでつくったグリュイエール・ダルパージュは、色も濃く旨味も香りもより豊かで通常のグリュイエールとは一線を画します。
グリュイエール・ダルパージュをもし見かけたらぜひ試してみてください。
グリュイエールは、そのまま食べても美味しいですが、料理に使って楽しむチーズでもあります。
特に熟成の浅いグリュイエールチーズはクセがなくマイルドでどんな料理にも好相性。
食べ方で悩むことはありません。
例えば以下のような料理にグリュイエールは多く使われます。
グリュイエールチーズの食べ方として最も有名な料理のひとつが「チーズフォンデュ」です。
スイスの郷土料理で、グリュイエールチーズをベースに、エメンタールなどのスイス産チーズやウォッシュチーズ、ブルーチーズなど様々なチーズとブレンドして白ワインで溶かしてフォンデュにします。
チーズフォンデュをするときは、まずはグリュイエールチーズを準備しましょう。
仕上げにグリュイエールチーズのすりおろしをかけてオーブンで焼けば香ばしいグラタンに仕上がります。
パルミジャーノなどのハードチーズとは違う特有の風味がグラタンにとてもマッチします。
特にオニオングラタンスープのレシピの多くに、グリュイエールチーズが使われています。
グリュイエールは、キッシュで使う定番チーズでもあります。
パンのサイズに合わせてスライスしたグリュイエールチーズとハムを挟んでトースターで焼き上げるだけで贅沢な一品に。
さらにベシャメルソースを挟めばクロックムッシュの出来上がり。
このようにグリュイエールは焼いて香りを引き立てる食べ方がとてもおすすめです。
もちろん加熱しない食べ方もおすすめ。
すりおろしたり、ダイスカットしたグリュイエールを野菜と合わせてサラダにすればリッチで香り豊かなサラダに仕上がります。
そのままおつまみとして食べる場合は、クルミやヘーゼルナッツなどのナッツを添えると風味がより広がります。
お酒と合わせるなら辛口の白ワインが特に好相性。
同郷のスイス産の白ワインを合わせれば自然と気分が高まります。
グリュイエールは、アルミホイールかラップで包み、密閉容器に入れて冷蔵保存します。
グリュイエールはハードタイプのチーズですが、多くは熟成が若いため水分量は多めです。
他のハードチーズよりも賞味期限は早いので、カビが生えないように小まめに拭いたりラップを変えるなどの手入れをしましょう。
そのまま食べたり、削ってグラタンやパスタ、サラダにかけたり、カットしてサンドイッチに挟んだり、様々な食べ方ができるグリュイエールは、ブロックである程度のサイズを買うのもおすすめです。
同じグリュイエールでも生産者にこだわりたいあなたはこちら。
WORLD CHEESE AWARDで金賞を受賞した経験もあるヴィアザビオ社のグリュイエールチーズです。
香りの複雑さが違います。
レストランのメニューを見ると、グリュイエールというチーズの名前は意外と多く出てきます。
おそらくフレンチレストランで料理に使うチーズの多くはグリュイエールです。
ナッツのような上品で複雑な香りと料理にも使いやすい手頃な価格が選ばれる理由でしょう。
料理にもおつまみにも大活躍のグリュイエールは私たちにとってとても馴染みやすいチーズであると言えます。
ゴーダやチェダーもいいですが、グリュイエールチーズを料理に使ってみるとまた一味違う風味を楽しめます。
ぜひいろいろな食べ方でグリュイエールチーズを試してみてくださいね。