最終更新日:2020/05/31
プロセスチーズは日本人にとって最も馴染み深いチーズです。実際にスーパーやコンビニに行くと多くの場合、ナチュラルチーズよりもプロセスチーズの方が品ぞろえが豊富です。
プロセスチーズはこれだけ私たちにとって身近なチーズですが、そもそもプロセスチーズとはどんなチーズで、ナチュラルチーズとは何が違うのでしょうか。
この記事では、プロセスチーズについての基礎知識とプロセスチーズの特徴を活かした食べ方をご紹介します。
スーパーやコンビニのチーズコーナーで商品の裏パッケージを見てみてください。
そこには
ナチュラルチーズ
プロセスチーズ
乳等を主要原料とする食品
という3種類いずれかの表記がされているはずです。
それぞれどのように違うのでしょう?
普段意識せず見過ごしがちですが、その違いはチーズを理解する上で重要です。
それでは、以下その違いを見ていきましょう。
ナチュラルチーズとは簡単に言うと、原材料が乳であり、乳の状態から製造されたチーズです。
少し厳密に言うと、乳や脱脂乳、クリーム(又はそれらを混合したもの)のタンパク質を酵素や凝固剤により凝固させて、その凝乳から一部の水分を取り除いたものです。
名前に「ナチュラル」と付くように、自然のまま、チーズとして加工されていない乳を原料につくられます。
プロセスチーズは乳等省令で「ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶解し、乳化したもの」と定められています。
プロセスチーズは、ナチュラルチーズを細かく砕き、乳化剤とともに加熱しながらトロトロに溶かしたのち、型に流し込んで冷やし固めてつくられます。
つまり、プロセスチーズとはナチュラルチーズを原料にしたチーズということになります。
プロセスチーズの原材料表記を見ると「ナチュラルチーズ」「乳化剤」の文字が書かれているはずです。
チーズ棚に並ぶ商品の裏表記を見ると「乳等を主要原料とする食品」という文字が書かれたものがあります。ナチュラルチーズでもプロセスチーズでもない、「チーズフード」と呼ばれる食品です。
チーズフードとは、一種以上のナチュラルチーズまたはプロセスチーズが原材料の51%以上を占め、そこに植物性油脂やゼラチン、寒天、水あめ、レモン果汁、チョコレート、醸造酢などの添加物が加えられたものです。
多くの場合、プロセスチーズよりも原材料に占めるナチュラルチーズの比率が低く、上に挙げたような乳に由来しない材料が添加されています。
身近な商品だと、ベルキューブやフルーツ風味のチーズデザートがこれに当たります。
このように、現在は昔ながらの製法のチーズ以外にもさまざまな製法のものが開発されているため、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、チーズフードという分類が生まれているんです。
プロセスチーズの定義を理解したところで、次にプロセスチーズの特徴について解説します。
プロセスチーズはその製法からナチュラルチーズとは違う特徴をもっています。
その特徴として次の3点が挙げられます。
日持ちがする
クセがなく食べやすい
加熱しても溶けない
以下、各特徴について簡単に解説します。
プロセスチーズは、ナチュラルチーズを加熱溶解してつくられます。ですので、その加熱の過程でナチュラルチーズに生息する細菌は死滅し酵素の働きも止まってしまいます。
よって、賞味期限がナチュラルチーズと比較して長いのです(例外もあります)。
また、この加熱によって有益な菌も死滅するため熟成による香りや味わいの良い変化もありません。
先程述べたように加熱され細菌や酵素が働かなくなることで、チーズの熟成が止まってしまいます。
それによって熟成による深みや複雑さは少なく、均一で単調な食感や風味になってしまいがちです。
しかし逆に言えば、クセがなく食べやすい万人受けする味わいとも言えます。子供などチーズを食べ慣れない方でも抵抗なく食べられる親しみやすい味わいがプロセスチーズの魅力とも言えるでしょう。
また現在は、原材料に熟成して旨味や複雑な香りを備えたナチュラルチーズを使った商品もあり、その品質は高く、バリエーションも増えています。
上の写真は、左がプロセスチーズ、右がナチュラルチーズのラクレットです。オーブンで5分加熱した後の様子です。
プロセスチーズは角が丸くなる程度しか変化がありません。
このように、プロセスチーズは基本的に熱に溶けにくい性質があります。
ただし、「とろける」などと表記された良く溶けるタイプのプロセスチーズもあります。これは、添加する乳化剤の種類を変えることでチーズの溶け具合を調整しています。
このように、プロセスチーズは商品によって溶け具合が異なります。プロセスチーズの食べ方によって「とろける」という表記の有無を確認するようにしましょう。
最後にプロセスチーズの特徴を活かした食べ方をご紹介します。
プロセスチーズの多くは、手軽に食べられるように一口サイズにカットされ、食べやすいように個包装もされています。もちろんそのまま食べても美味しいですが、料理に使ったり、ちょっとしたひと手間で違う楽しみ方もできます。
例えば、プロセスチーズを海苔や大葉で巻いたり、梅肉などの薬味を添えるだけで一気にチーズが和の食卓に馴染みます。
また、細かくカットしてサラダに添えるのはもちろん、納豆やキムチに合わせても美味しく楽しめます。
その延長で、おにぎりや炒飯の具材に使うのもおすすめです。プロセスチーズの熱に溶けにくい性質のおかげで料理でチーズをきれいに仕上げることができます。
チーズおにぎりのレシピなどをより知りたいあなたはこちらの記事をどうぞ。
また、これ以外にもプロセスチーズの溶けにくい特徴を使って、醤油で表面を軽く焼いてみたり、肉巻きやフライにしたり、燻製にするのにも適しています。
一方で、とろけるタイプのプロセスチーズを使って通常のトーストにのせる以外の食べ方もあります。
その代表がレンチンせんべいです。とろけるスライスチーズに具材をのせて電子レンジでぱりぱりに焼くだけ。シンプルでクセがなく安価なプロセスチーズは最も材料として適しています。
プロセスチーズはそのまま食べても美味しいものが多いですが、このようなひと手間で様々な楽しみ方ができる点も魅力です。