最終更新日:2020/04/02
ぺライユは、珍しい羊のミルクのソフトタイプのチーズで、日本では主に春先から初夏の限られた時期にしか目にしないチーズです。
見つけたらぜひ試してもらいたいぺライユとはどんなチーズなのか。産地、チーズの味や特徴、食べ方を解説します。
ペライユは、フランス南部にあるアヴェロン県でつくられる羊乳製のチーズです。
産地のアヴェロン県は、ロックフォールという羊乳製のブルーチーズの産地としても有名です。
ぺライユは、何世紀もの歴史があるチーズですが、そもそもはロックフォールの生産で残った半端なミルクを無駄にしないために少量のミルクでつくれるチーズとして考案されました。長い間、ぺライユは生産量も少なく、自家消費的なチーズでした。
そんな地元消費の小さなチーズも、今は日本でも手に入るような世界のチーズになりました。その裏にはぺライユに情熱を捧げる生産者の努力があります。現在ぺライユはAOC申請中のチーズで、これからさらに発展が期待できるチーズのひとつです。
ぺライユは、羊のミルクを原料につくられるソフトタイプのチーズです。
熟成は2週間程度のものが多く、羊のミルクのフレッシュさを楽しめるチーズです。
現在ぺライユは通年生産されていますが、羊がミルクを出す冬から夏の季節に多く出回ります。フレッシュさを味わうチーズなので、旬は青草が伸び始める春先から初夏。春の息吹を感じる時期に食べたいチーズです。
ぺライユの表皮は、淡いクリーム色でうっすらと白い酵母に覆われています。
表皮は薄く柔らかく、中身はトロリと滑らかです。
味わいには、ミルクのコクと甘みが感じられます。羊のミルクは、牛や山羊のミルクよりも脂肪分が多くコクと甘みがより強いのが特徴です。ぺライユも同様ですが、フレッシュなチーズである分、味わいはマイルドで爽やかな印象があります。余韻にはほのかな羊特有の風味が鼻に抜けます。
ぺライユは、熟成によっても味や風味が変化するチーズです。
熟成の若いやや硬めのものは、味も風味も穏やかでフレッシュ。熟成するにつれて、生地はとろりと柔らかくなり、味と風味が強くなってきます。熟成後半には、生地が自然と流れ出るほど柔らかくなります。羊特有のクセも強くなり印象は大きく変わります。
そんな羊のチーズの熟成の変化も楽しめるのがぺライユの魅力です。
食べるときは、そのままバゲットとともに。南仏風にオリーブを添えても美味しいです。
ワインは、赤ワインがおすすめです。濃厚なぺライユには、同郷のラングドック地方の濃いめの赤ワインを。
ぺライユは、フレッシュな羊のミルクの美味しさを味わえる上質なチーズです。ぺライユを食べて季節を感じてみてはいかがでしょうか。