最終更新日:2020/04/17
近年、味噌や醤油、だしなど和の味と合わせたチーズをよく目にするようになりました。
この「田楽みそ漬けカマンベール」も日本の伝統的な味付けの田楽味噌で自家製のカマンベールを漬けた日本らしいチーズです。
北海道十勝のチーズ工房が生み出す日本の味わいの魅力をご紹介します。
このチーズの生産者「十勝野フロマージュ」は、北海道十勝の中札内(なかさつない)村を拠点にするチーズ生産者です。
工房の創設者 赤部紀夫さんは、大手乳業会社で53歳の時にチーズ造りに出会いその面白さに魅了され、59歳で息子さんと自身の工房を立ち上げた情熱の持ち主。
チーズは、村内の指定牧場の良質な生乳だけを使い、床下には「活性炭」を埋め込んだクリーンな工房でつくられています。
十勝野フロマージュは、カマンベールなど白カビチーズに力を入れている工房です。
コンテストの受賞歴も多く、人気商品の「おいしいカマンベール」は2008年北海道洞爺湖サミットやJAL国際線の機内食に採用されるなど、高い評価を得ています。
また、白カビチーズ以外にもクリームチーズやラクレットなどのチーズも生産しています。
「田楽みそ漬けカマンベール」は、十勝野フロマージュのカマンベールを十勝産田楽味噌と合わせ熟成させたチーズです。
味噌を思わせるオレンジと茶色のパッケージは、売り場でも一際目立ちます。
カマンベールは、パック詰めされ、たっぷりの田楽みそとともに入っています。
パックを開けると甘い味噌や酒、漬物のような複雑な香りが穏やかに感じます。白カビ特有のきのこの印象は味噌だれの香りに隠れています。
箱の原材料名の欄には、
と書かれています。
ご存知の通り、田楽味噌は、味噌に砂糖、酒、みりんを合わせたもの。そんな甘くまろやかな香りがこのチーズからしっかり感じられます。
チーズの表面はたっぷりの田楽みそに包まれています。
生地は、全体に芯があるような硬さがあり熟成の若い印象。ナイフを使っても力を入れなければ切れないほど。
噛むとしなやか且つ歯応えのある食感のあとにフレッシュなミルクが第一に感じられます。そして、田楽みその甘みと風味が広がり、まろやかな酸味が爽やかな後口です。
味噌漬けという印象から辛味が強いのかと思いきや、塩味は控えめでとても優しい印象。甘みと酸味が味わいの印象を占めています。これは、カマンベール自体の塩味が穏やかなのと、田楽みそも甘く辛みを抑えてあるためです。
箱書きには、「このチーズは乳酸菌が生きているため熟成が進みます。…賞味期限が近くなるほど力強い風味になります。」とあります。私が食べたのは賞味期限の2週間前なのでまだまだ熟成が若い状態。2週間も寝かせれば味わいはもっと強くなるはずです。
個人的には、熟成が若い状態でもチーズ特有の酸味が味噌だれとバランスが取れていて良いと感じました。
また、このチーズは軽く焼いても美味しいです。
焼くことで味噌の香りが際立ち、生地は柔らかくなります。味わいも酸味が穏やかになり、甘みや旨味が際立ったまろやかな優しい味わいに。味噌とチーズの深みがより感じられ落ち着く味わいです。
十勝フロマージュのサイトの商品ページには、「ご飯のおかずにもなる」とも書かれていますが良くわかります。
お酒も日本酒が飲みたくなる味わいです。ワインなら軽やかな赤ワインが良いでしょう。
心が落ち着く味噌の香りとクセがなく甘く食べやすい味わいは、間違いなく多くの日本人に好まれるはず。
日本らしさが全面に出ていて海外でも受けそうな魅力的なチーズです。