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チーズの皮が食べられるか悩んだことはありませんか?

最終更新日:2019/02/06  

 

チーズを食べるとき、付いている皮は食べるべきか残すべきか悩んだことはありませんか?

 

硬かったり、汚れているように見えたり、色がついていたり、カビが覆っていたり。

 

何も知らないと食べるのに勇気がいりますよね。

 

しかし、チーズのプロにとっては皮はそのチーズの身分証のようなもの。

 

そのチーズがどのように熟成・管理されていたかを見る大切な部分です。

 

そこで今回は、チーズを楽しむ上で知っておきたいチーズの皮についてのお話です。

 

これでチーズを食べるときに皮で悩むことはなくなりますよ。

 

 

 

チーズの皮はどうしてできる?

 

まずはじめにチーズの皮はなぜできるのでしょうか?

 

考えてみると、プロセスチーズやモッツァレラのようなフレッシュチーズには皮はありませんよね(厳密には薄い皮はありますが)。

 

リコッタチーズ

 

逆に、パルミジャーノやコンテのような熟成タイプの大きなチーズには厚い皮があります。

 

パルミジャーノ 皮

 

そうです。熟成の過程でチーズには皮ができるのです。

 

熟成の過程でチーズ表面の水分が少なくなり硬くなることで表皮ができます。

 

そしてその表皮のつくり方はチーズによってさまざまで、熟成の仕方によって硬さ、質感、色、などが変わってきます。

 

つまり、チーズの表皮を見ればそのチーズがこれまでどのように育ってきたのかがわかるのです。

 

先ほどチーズの皮は、そのチーズの身分証と書いたのはそういう意味です。

 

 

チーズの皮にも役割がある

 

 

一見無用に見える皮にも重要な役割があります。

 

〇チーズの有害な雑菌の繁殖を防ぐ

〇チーズの形を保つ

〇チーズの過度な乾燥を防ぐ

 

つまり、チーズの皮は風味や食感を生むだけでなく、チーズの品質を守る大事な役割もしているんです。

 

 

タイプ別に見るチーズの皮のなぞ!この皮は食べられる?

 

チーズの皮の外観や香り、硬さはさまざまです。

 

ただし、チーズのタイプによって特徴はある程度共通しています。

 

そこで、それぞれタイプごとにその表皮の特徴を写真とともに説明していきます。

 

 

ハードチーズ

 

 

上の写真のようなハードチーズには、硬くて厚い皮があります。

 

この皮は、熟成前に塩をこすりつけたり、塩水に浸けたりして、表面の脱水を促して表皮をつくります。

 

さらに熟成中に布で拭いたりブラシをかけたり、頻繁に表皮を磨いていくことで硬い皮をつくっていきます。

 

ハードタイプの皮は基本的には食べるのには硬すぎるため、皮は外して楽しみましょう。

 

 

セミハードタイプ

 

上の写真はアボンダンスというセミハードチーズです。

 

このチーズは、古いチーズの外皮を塩水で溶かした「モルジュ液」をつけたブラシで表面を定期的に磨きます。

 

そして、磨いては自然乾燥させ、また磨きと、作業を繰り返すことで茶色がかったオレンジ色の表皮になります。

 

この皮を食べるかどうかは食べ手次第です。

 

セミハードタイプのチーズは皮の硬さに差があります。

 

皮自体は食べられますが、食感が悪くなる場合もあるので、皮を外すかどうかは食べ手の好みによります。

 

 

こちらは、オランダ産のエダムというチーズです。

 

表面を赤いワックスでコーティングされています。

 

オランダ産のチーズは表面をワックス加工されたものが多く、

 

ゴーダチーズも同様の処理が施されています。

 

この樹脂の皮は食べられません。

 

 

ウォッシュタイプ

 

ウォッシュタイプは、表面を塩水で洗ったり拭き取ったりを繰り返すことで表面にリネンス菌という菌が繁殖し、そのリネンス菌が出すオレンジ色の粘液によってこのような色に仕上がります。

 

現在ではさらに「アナト―」という天然の色素を使って色味を調整しています。

 

熟成中洗う回数が多いほど、外皮の柔らかさ、粘り気、においが増します。ウォッシュタイプの場合、皮こそが個性なのでぜひ食べましょう。

 

ただし、モンドールのように皮が厚く食感が悪くなる場合や塩味が気になる場合は除いたほうが良いです。

 

モンドール

 

 

白カビタイプ

 

 

白カビタイプは、表面に塩をふり、その後白カビ菌を吹き付けて熟成させることでこのような白カビに覆われた表皮ができあがります。

 

また、白カビチーズの場合、購入してからも表皮の色が変化してきます。

 

熟成が進むにつれて、表面にリネンス菌が繁殖し茶色がかってきます。でも、それは正常な熟成です。

 

もちろん皮も食べましょう。

 

 

青カビタイプ

スティルトン

 

青カビタイプは上の写真のように、皮のあるタイプとないタイプがあります。

 

この違いは熟成の仕方によります。

 

皮がないのは、熟成中に表面を金属箔で包むためです。

 

皮があるタイプは、熟成中は何も包まず表面にカビが発生するごとに拭いていくことで薄い自然な表皮ができあがります。

 

ブルーチーズの皮は食べられます。

 

ただし、食感や風味が悪くなる場合もあるので、気になる場合は外しましょう。

 

 

シェーヴルタイプ

 

山羊のチーズの外皮は上の画像のように大きく2種類あります。

 

灰色のタイプは、表面に木炭粉をまぶして熟成させています。

 

これにより、表面の調湿効果と山羊乳チーズ特有の酸味を和らげる働きがあります。

 

下のナチュラルな表皮のものは木炭粉をまぶさずに熟成させています。どちらも皮は食べられます。

 

また、シェーヴルチーズは熟成によって表面にカビが繁殖してきます。

 

 

初期は白いカビがうっすらと覆う程度ですが、さらに熟成させると上の写真のように象牙色を帯び組織も硬くなってきます。

 

シェーヴルチーズは皮は食べられますが、上の写真のレベルまでくると食べるかどうかは食べ手次第になってきます。

 

カビが気になる場合は外しましょう。

 

 

チーズの皮まとめ

 

以上、チーズの皮について見てきました。

 

少し謎が解けたのではないでしょうか。

 

チーズの皮は樹脂でコーティングされたもの以外は、基本的に食べても毒ではありません

 

食べ手の好き好みの問題です。

 

しかし、皮が硬かったり雑味が多い場合、口に入れたときに皮のせいでチーズ全体の食感が悪くなったり、味わいの繊細さが失われることもあります。

 

その場合は無理せず外して楽しみましょう。