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チーズとは?製造方法から定義を理解する!イラストや写真で詳しく解説!

最終更新日:2020/06/01  

 

チーズの定義ってなに?どうやってつくるの?

 

日ごろ食べていて馴染みがありながら、そもそもチーズとは何なのか、どうやってつくられるのかを知らない人は多いと思います。

 

そんな私もチーズの勉強を始めるまでは全く知りませんでした。

 

この記事は、チーズの一般的な製造方法を写真とともに説明し、チーズとは何なのかチーズの定義を理解します。

 

 

そもそもチーズとは?

 

 

チーズとは「乳や脱脂乳をレンネットやその他の凝固剤によって凝固し、ホエイを分離したもの

 

これは、CODEX(国際食品規格)によるチーズの定義です。

 

また、日本の乳等省令という法規では、大まか次のように書かれています。

 

ナチュラルチーズとは「乳のたんぱく質を酵素その他の凝固剤により凝固させた凝乳から乳清の一部を除去したもの又はこれらを熟成したもの」(部分的な抜粋)

 

つまり、チーズとは「乳を凝固剤によって固め、その凝乳からホエイ(=乳清)を分離したもの」です。

 

ただ、乳が凝固した凝乳やホエイ(=乳清)のイメージができないとこの定義の意味もよくわからないはず。

 

そこで、ナチュラルチーズの一般的な製法を見てみましょう。そうすることでこの定義がより理解できると思います。

 

 

ナチュラルチーズの作り方

 

牛乳を使用した一般的なナチュラルチーズはおおまかに次のような製造方法でつくられます。

 

チーズ 製造方法

 

以下、写真とともにより詳しく見ていきましょう。

 

製造方法①乳脂肪を調整後、ミルクを温める

 

チーズづくりの下準備といて行われるのは、搾ったミルクの成分調整です。

 

ミルクは牛の品種や搾った季節によって乳脂肪分の比率が若干異なります。

 

牛乳

 

生産者は作りたいチーズのタイプや味わいに応じて脂肪分を取り除いたり、加えるなどの調整を行います。また、多くの場合ミルクの殺菌処理も行います。このように調整したミルクはチーズの製造を開始するまで冷却保存されます。

 

そして、チーズづくりのファーストステップはミルクを温める作業です。

 

 

チーズによりますが、約30℃くらいまで加熱します。これは、このあと添加する乳酸菌の働きを良くし、ミルクを固めやすくするためです。

 

 

製造方法②乳酸菌やレンネットを添加し、ミルクを固める

 

レンネット 添加

 

温めたミルクにまずはスターター(乳酸菌)を加えます。こうすることでミルクの酸度が上がり、チーズ製造に好ましくない雑菌の繁殖を防ぐことができます。同時に、レンネット(凝乳酵素)の働きも活発化され、よりミルクが固まりやすい環境になります。

 

乳酸菌の働きでミルクが適切な酸度に上がったら、レンネットを添加します。

 

レンネットとは、ミルクを固める作用のある酵素の一般名です。レンネットにもさまざまな種類がありますが、一般的には「キモシン」という動物性の成分を使います。

 

ミルクの固め方はこのレンネット(凝乳酵素)による方法が主流ではありますが、チーズによっては酸で固めたり、加熱して凝固させるものもあります。

 

 

製造方法③凝乳をカットし、ホエイの分離を促す

 

ある程度固まったミルクを「凝乳」と言います(下の写真:絹ごし豆腐のような状態)。

 

その後、凝乳から水分の分離を促すため、凝乳をワイヤーでサイコロ状にカットし、ゆっくりかき混ぜながら温度を上げていきます。

 

 

撹拌と加熱によって凝乳からホエイがにじみ出て、凝乳の収縮が進みます。

 

カード

 

カットするサイズや加熱温度はつくりたいチーズによって異なり、より細かく、より高温に加熱するほど水分が分離され、固いチーズに仕上がります。この作業はチーズ製造工程の中でチーズ職人の経験と感性が問われるもっとも重要な部分のひとつです。

 

 

そして、凝乳が適した収縮状態になったら、液体から凝乳を分離します。この凝乳を取り除いたあとに残る液体のことをホエイ(乳清)と言います。

 

上の写真の白濁した水溶液がホエイ

 

このホエイの中には、水分のほか、糖質(乳糖)、ミネラル、ビタミン、ホエイたんぱく質が含まれています。

 

 

製造方法④型に詰めて成形する

 

ホエイから分離させた凝乳(カード)を枠型に入れ、成形します。

 

 

型枠のサイズや形はチーズによってさまざまです。

 

またチーズの種類に応じて、圧搾機で枠型の蓋の上から圧力をかけ形を整えます。

 

 

製造方法⑤加塩・熟成

 

熟成チーズをつくる場合、塩を表面に塗ったり塩水に浸けるなど必ず加塩という作業を行います。これは、熟成中の雑菌繁殖による腐敗を防ぐのが大きな目的です。

 

 

ただし、フレッシュチーズの場合はホエイを抜いたあと加塩せずにすぐ出荷される場合がほとんどです。

 

熟成チーズは、その後専用のセラーに運ばれ、出荷に適した状態になるまで熟成されます。

 

 

熟成とは、チーズや熟成環境のなかにいる微生物や酵素が、チーズのたんぱく質を分解してアミノ酸を作り出したり、脂質を分解して脂肪酸などを生成することによって独特の風味を生み出す工程のことを言います。

 

つまり、チーズの味わいをより深く複雑にする工程です。

 

熟成はチーズの大きな魅力のひとつで、この熟成の状態によって風味や味わいは大きく変わってきます。

 

 

チーズの定義の先にある魅力

 

ここまで押さえたうえで、一番最初にご紹介したチーズの定義を見てみましょう。

 

チーズとは、「乳や脱脂乳をレンネットやその凝固剤によって凝固し、ホエイを分離したもの」

 

だいぶイメージが掴めたのではないでしょうか。

 

ちなみに、上でご紹介したチーズの製法はその一例であって、チーズの種類によって工程はさまざまです。

 

原料乳の乳種や乳脂肪分の違い、凝固剤の種類、ホエイ分離の度合いや方法、熟成の有無とその方法。それらの違いがチーズの食感や香り、味わいとして反映されます。

 

チーズの定義は簡潔な一文ですが、チーズの魅力はその先にあります。

 

ぜひその先の知識をちょっと増やしてみてください。知識が増えるにつれてより奥深く魅惑的な世界が広がってくるはずです。