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チーズの熟成を理解しよう!

最終更新日:2018/12/02  

 

熟成したチーズには、農家さんや職人さんが時間と手間をかけて育てあげた、そのチーズにしかない深く複雑な味わいがあります。

 

職人さんが上手に熟成したチーズをベストなタイミングで食べたときの感動はチーズの醍醐味とも言えます。

 

そこで今回は、チーズの熟成に焦点を当て、熟成の魅力や熟成による味わいの変化について取り上げます。

 

 

 

チーズの熟成のメカニズム

 

ところであなたはチーズの熟成はどのようにして起こるのか、そのメカニズムをご存知ですか?

 

チーズとは、ミルクの中のたんぱく質と脂肪を凝固させ、そこから一部の水分を除いたものです。

 

たんぱく質と脂肪には基本的に風味はありませんので、熟成前のチーズ(グリーンチーズという)は、風味に乏しい状態です。

 

そしてこの塊を熟成させると、チーズの中でさまざまな分解が起こり、味わいや風味が複雑に変化します。

 

コンテ 熟成

 

たとえば、熟成前のたんぱく質は、ペプチドやアミノ酸に分解され、主に舌で感じるうまみ成分に変化します。

 

熟成前の脂肪分は、脂肪酸やグリセロールに分解され、主に風味を加える成分に変化します。

 

さらに熟成により、これらペプチドやアミノ酸、脂肪酸などからは、さまざまな風味成分が生み出され、よりチーズを風味豊かにしていきます。

 

このように熟成中、チーズの中ではたんぱく質や脂肪の分解が起こり、そこから生じるさまざまな成分によってチーズの風味は変化していくのです。

 

 

タイプ別に見るチーズの熟成変化

 

それでは、チーズの味わいや風味は熟成によってどのように変化していくのでしょうか。

 

タイプ別にチーズの熟成の変化を見ていきましょう!

 

ハードタイプの熟成

 

パルミジャーノレッジャーノ

 

ハードチーズの熟成によって最も感じられる変化は、旨味の濃度です。

 

熟成によってアミノ酸などの旨味成分がどんどん凝縮してきます。

 

上の写真のチーズにある白い斑点はアミノ酸、つまり旨味成分が結晶化したものです。

 

1年以上熟成させるとそのアミノ酸がチーズ組織の中で結晶化しはじめ、噛むとジャリジャリと音を立て、若いチーズにはない食感と旨味の凝縮した長い余韻が楽しめるようになります。

 

これこそがハードチーズの一番の魅力と言えます。

 

 

白カビタイプの熟成

 

 

白カビチーズは出来立ては真白なきれいなカビに覆われています。

 

これが熟成が進むと白カビ薄くなり、色も茶色がかってきます。

 

 

ですので、表面の色の具合である程度熟成度を予想することができます。

 

食べごろは、白と茶色の面がバランスよく存在する状態と言われています。

 

また、香りは、徐々に強くなり、シャンピニオンやアンモニアの香りが増してきます。

 

白カビチーズは組織の硬さも大きく変化します。

 

若い段階では、はっきりと芯がありますが、熟成によってとろりと柔らかくなります。

 

カマンベール断面

 

ですので、味見してまだ若いと感じたら、少しの期間冷蔵庫で寝かせておくだけでだいぶ食感や味わいの深さも変わります。

 

ただし、「ロングライフチーズ」と言われる、包装したあとに高温で加熱殺菌されたチーズにはこのような変化は起こりません。

 

 

ウォッシュタイプの熟成

 

エポワス

 

ウォッシュタイプのチーズは、熟成過程で繁殖したリネンス菌がたんぱく質や脂肪を分解し、匂いの強いオレンジ色の粘液を出すことでこのタイプ特有の風味が形成されます。

 

ウォッシュタイプも白カビタイプと同様に、購入後も熟成によって風味や生地の柔らかさが大きく変化します。

 

味わいや香りの強さはどんどん強くなり、組織もとろりと流れ出るくらいの柔らかさになります。

 

 

食べごろは好みですが、あまり熟成させると辛くなりすぎるので、芯が硬く残っていなければ早めに食べきりましょう。

 

ウォッシュタイプのチーズはこの柔らかな食感が大きな魅力ですが、乾燥によってすぐに皮や切り口が硬くなってしまいます。

 

ラップなどでしっかり乾燥ケアをすることもお忘れなく。

 

 

青カビタイプの熟成

 

 

青カビタイプの特徴である特有の香りは、青カビ菌が主に脂肪を分解して各種脂肪酸を生成することで生じます。

 

このタイプのチーズには、白カビやウォッシュタイプのチーズのように私たちが購入したあとの良い意味での変化はあまり期待できません。

 

時間とともに組織の水分は抜けてゆき、みずみずしさがなくなり辛さが増したり、カビが水分を吸って劣化したりします。

 

購入したらなるべく早く食べたほうが美味しく楽しめます。

 

 

シェーヴルタイプの熟成

 

 

シェーヴルタイプのチーズは、基本的に10日程度の若い熟成状態で売りに出されます。

 

この段階では、ミルキーでほどよく酸味がありフレッシュな印象です。

 

これが、熟成させると周りにうっすらとカビが覆いはじめ、組織も硬くなっていきます。

 

 

味わいも酸味は穏やかになり、ピリッとした辛みや複雑なニュアンスが増してきます。

 

シェーヴルチーズはカビが生えやすく、湿度管理が最も難しいチーズです。

 

好き好みはありますが、基本的には購入したら早めに食べきることをおすすめします。

 

 

チーズの熟成はまさに職人技

 

以上、タイプ別の熟成変化について見てきました。

 

チーズの熟成は本当に奥が深く、本場フランスでは熟成士というチーズの熟成を専門とする職業があるくらいです。

 

それだけチーズにとって熟成は品質を左右する大切な要素であることがわかります。

 

チーズを食べるときは、そういった職人さんの丁寧な仕事を思いながら食べると、いつもとはまた違った深みが感じられそうですね。