最終更新日:2018/12/02
あなたは、日本はいまチーズブームだと思いますか?
それはなぜですか?
私は体感的にブームが来ているのではないかと感じています。
それはあくまで自分がチーズ好きで、ちょっとした話題でも印象に残っているからかもしれません。
でも、それだけとは思えない現象が東京の街を歩いていると目に飛び込んできます。
そこでこの記事では、現在の日本のチーズ市場について調べ、考え、まとめてみました。
あなたもぜひこの記事を読んで、いま日本に本当にチーズブームが来ているのか考えてみてください。
Contents
日ごろ生活していて何気なくチーズを目にする機会が増え、ブームを感じていると先ほど書きました。
実際あなたも、TV番組やウェブなどのメディアでチーズの特集がされる機会が増えたと思いませんか?
街で目にする行列の先にチーズがあったりしませんか?
では、具体的にそんなブームを感じるポイントをまとめてみましょう。
例えば、美味しいと評判のご飯屋さんや飲み屋さんに入ったとします。
メニューを見てチーズという文字を探してみてください。
和洋中どんな業態でも、トレンドに乗った繁盛店であればかなりの確率でチーズという文字を見つけられるはずです。
私は、マクロビ(動物性たんぱく質を一切使わない食事。もちろんチーズもNG)のお店ですら豆乳チーズケーキという形で見つけました(笑)
パンケーキブームを牽引した「bills」のパンケーキにもリコッタチーズが入っていて話題になり、今ではチーズ入りパンケーキは定番化しつつありますよね。
最近では、チーズタッカルビでしょうか?
これまで、「チーズタッカルビ」なんて言葉自体存在しなかったメニューですが、今やコンビニですら目にします。
チーズタッカルビとは、東京・新大久保のコリアン街にある「市場タッカルビ」というでお店が発祥と言われていて、野菜や鶏肉をコチュジャンベースのソースで炒め、チーズを絡ませた料理です。
インスタ映えなどの要素もあって、若い女性を中心にブームとなり、「クックパッド」の「2017年食のトレンド大賞」では1位を獲得しています。
おそらく食に関わる商品開発をしている人たちの意識には、「チーズは売れる」という感覚があるのではないでしょうか。
それを現すかのように、これまででは在り得なかったチーズとの組み合わせも出てきています。
例えば、チーズフォンデュ餃子。
磯丸水産を運営するSFPホールディングスが手掛ける餃子専門店で、新メニューとして売り出すストーリーがTV番組で取り上げられていました。
餃子のイメージを覆す女性受けするメニューとして考えられたようです。
ちなみに最近、女性一人でも入りたくなるようなおしゃれな餃子専門店が増えている気がします(次のブームになるのでは?)
もちろん中には無理やり組み合わせたような酷いものもありますが、これだけチーズを使ったメニューが多いということは需要があり、人を引き付ける魅力があることの現れでしょう。
近ごろオープンした「日比谷ミッドタウン」にもチーズ専門店があります。
「GOOD CHEESE GOOD PIZZA」というつくりたてのモッツァレラチーズが売りのピザ屋さんです。
オープンしてから何度か日比谷ミッドタウンに足を運んでいますが、開店前には行列が出来るほど人気があります。
また、ラクレットを売りにした専門店も増えています。
ちょっと前から話題のラクレットですが、その集客力も凄まじいものがあります。
渋谷ヒカリエの飲食店フロアで一際繁盛している「ラクレ」というお店も、ラクレットを売りにしたチーズ料理専門店です。
このようにチーズに特化した魅力的な飲食店も増えています。
飲食店に限らず、チーズ販売を行う専門店も増えています。
今やデパ地下には、必ずと言っていいほどチーズ専門店が入っていますよね。
デパ地下以外にも、街中で営業するこだわりのある個性的なお店が増えています。
もっと身近なところで、スーパーのチーズコーナーを見てみましょう。
これまでよりも、棚の幅が広がってません?
国産のチーズメーカーも、さまざまな商品を生み出しています。
本当にバリエーションが増えましたよね?
これまでは、馴染みのある単調な商品しか並んでいなかったのが、今やあの手この手で興味をそそる商品が開発されています。
例えば、デザートチーズのような分野もこれまではほとんどなかったのではないでしょうか。
プロセスチーズや料理用チーズのイメージが強かった国産チーズですが、今は、フレーバーや食感にこだわったデザート感覚に食べられるデザートチーズ市場も確実に拡大しています。
それもあってか、スーパーのチーズコーナーは今やとても華やかで、デザートコーナーと勘違いしてしまいそうです。
これまで見てきたように、日本でもチーズは確実に普及してきています。
しかし、世界的に見れば日本のチーズ消費量はまだ大変かわいいものです。
下のグラフは世界各国の1人当たりの年間チーズ消費量を表したものです。
参照:乳業年艦2017年版(日本乳業協会)
これを見ると日本の数字の低さに目を疑います。
1位のフランスと比べると12倍以上の開きがあります。
このデータは2015年度の数字ですが、2016年度も日本の数字は約2.2kgとほぼ横ばいでした。
これは、スライスチーズに例えると138枚分に相当。
一見多く見えますが、2~3日にスライスチーズ1枚という計算になります。
納得の数字ですね。
ということは、フランス人は毎日スライスチーズ4~5枚の量食べていることになります。
フランス人はどれだけチーズを食べているのか・・・
怖くなりますね。
日本のチーズ消費量はなだらかではありますが、右肩上がりです。
確実に増えています。
では次に日本のチーズ消費の内訳をクローズアップしていきます。
グラフで見ると、近年の日本は特にナチュラルチーズが好調で、プロセスチーズとの差は年々広がっています。
では、そのナチュラルチーズでもどのようなチーズが売れているのでしょうか?
ナチュラルチーズのうち家庭用、業務用含め圧倒的に多いのは、シュレッドチーズです。
ピザトーストなどにのせる馴染み深いあれです。
手軽に使えて応用範囲も広いですし冷蔵庫には必ず入っているという方は多いのではないでしょうか。
そして、その後ろにクリームチーズ、白カビ系のチーズ、ストリングなどが続いています。
こう見ると日本のチーズ文化はまだまだ浅いなと感じてしまいますね。
チーズといえばプロセスチーズ、シュレッドチーズ、クリームチーズ。
スーパーに並んでいるチーズのラインナップを見てもそうなるのは当然な気がします。
逆に言えば、まだまだ日本人が知らないチーズの魅力はたくさんあり、市場として伸びしろがあるとも言えます。
先ほども述べたように、国産チーズのバリエーションも増えています。
また、日本でもフランスのような個性的なチーズをつくる小規模な農家さんが増えています。
そういう意味では、輸入チーズ以外にも国産の手間暇かけた美味しいチーズが手軽に楽しめる日もそう遠くないかもしれません。
それでは、このブームとも呼べるような今の状況の背景には何があるのでしょうか。
その要因として、大きく3点挙げたいと思います。
1つはインターネット環境でのビジネスやコミュニケーションの普及です。
インターネットと物流システムの発展によって、今やどこでもネット通販でチーズを購入できます。
どこにいても美味しいチーズが入手できる環境になったことは、チーズの消費拡大の大きな要因と考えられます。
また、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSやブログなど、誰もが簡単に情報発信できるようになった影響も大きいですよね。
特に最近ではインスタ映えという言葉も当たり前のように耳にし、人を惹きつける写真を撮ることが一番の目的で流行りのお店に行く人も多いでしょう。
そういう意味では、チーズのトロリと伸びる絵はとても写真映えし、チーズのお店に人が集まるのも頷けます。
クックパッドなど、誰もが参加できる料理レシピサイトが増えていることも要因として考えらえます。
これまでチーズは、朝食やおやつの一品に添えたり、パンにのせて焼く程度の使い方が大半だったのが、
今はインターネットで検索してレシピサイトを見れば、本当にさまざまなレシピを見つけることができます。
それによって、家庭でもチーズを使ったレパートリーが増え、チーズの消費にも繋がっているのではないでしょうか。
もう一つの大きな理由は、日本人の健康志向の高まりも挙げられます。
とはいえ、チーズの健康効果について詳しく知っている人は少ないと思います。
しかし、発酵食品ブームの流れでチーズも健康に良いと何となく思っている人は多いのではないでしょうか。
また、チーズの種類が多様化していることも要因として考えられます。
今はスーパーでもさまざまなチーズが売られています。
これまで見なかったような輸入チーズも当たり前のように棚に並んでいます。
魅力的な世界中のチーズが輸入されるようになり、また、国産メーカーもさまざまなアイディアで商品開発を行っています。
例えば、ゴーダチーズ。
これまではプロセスチーズの原料かシュレッドチーズのブレンドとしてぐらいしか見ませんでしたが、今は輸入したオランダ産のものをブロックで売っていたり、熟成度合いや食感の違うもの、フレーバーを効かせたものなど、何種類ものゴーダを見つけることができます。
このように、消費者が好みのチーズを選べる選択肢が増えたことも要因として大きいのではないでしょうか。
これまでお話ししてきたように、チーズ市場は拡大しています。
飲食店でも美味しいチーズ料理が食べられます。
チーズ自体も、バラエティーに富んでいます。
インターネットを使えば、もはや日本のどこにいても美味しいチーズが入手できます。
それでは改めて、日本はいまチーズブームか?と問われたら、
今の日本はチーズ市場の拡大期で、実感としてはブームであると言いたいです。
しかし、長い目で見れば現状の規模はまだまだ小さく、今後はもっと伸びることは間違いありません。
日本を訪れる外国人観光客や移住者も増えています。
日本人の食の嗜好やスタイルの変化も起きてくるでしょう。
チーズの魅力がどんどん広まり、今後チーズの市場はもっと爆発的に伸びる可能性があるのではないでしょうか。
外食産業のチーズメニューにもトレンドはあります。
今は、とにかくインスタ映えがキーワード。
チーズフォンデュ、ラクレット、モッツァレラ。
トロ~っと伸びるものに人が集まります。
おそらくこれからも、そのチーズの伸びるという性質を使ったメニューは定番として増えてくるでしょう。
それとは別に、長い目で増えてくると思うのが地産地消のスタイルです。
先ほども取り上げた「GOOD CHEESE GOOD PIZZA」のように、近場の契約農家から届きたての新鮮なミルクを使ってお店でチーズをつくり、出来立てのフレッシュチーズをお客さんに楽しんでもらう。
このスタイルの店舗が増えてくると思います。
フレッシュチーズであれば、においもなく、チーズが苦手な人でも食べれます。
通常のチーズは熟成によって魅力が増してくるものですが、フレッシュチーズは鮮度が命。
フレッシュチーズはつくりたてが一番なんです。
健康志向、地産地消の時代の潮流から考えても、これは自然な流れであると思います。
私個人も早くこのようなお店が増えて、もっと美味しいチーズをバリエーション豊かに楽しめる時代が来ることを願っています。
あなたもぜひ、時代に乗ってチーズの進化を感じながら幸せな時間を増やしてみてください。