チーズのトランス脂肪酸は気になりますか ?

最終更新日:2018/12/02  

トランス脂肪酸

 

最近ニュースなどのメディアで「トランス脂肪酸」という言葉をよく耳にしませんか?

 

すでにご存知の方も多いかと思います。

 

トランス脂肪酸と言うと悪者のイメージしかないと思いますが、

 

実はトランス脂肪酸にも種類があります。

 

その中には、今問題になっているような体に害のあるものもあれば、そうでないものもあります。

 

そこで、今回は気になるトランス脂肪酸について取り上げます。

 

トランス脂肪酸に過剰反応せず、安心して食品を選べる正しい知識を身につけましょう。

 

 

 

どうしてトランス脂肪酸が悪者に?

そもそもトランス脂肪酸が話題になったのは、2015年にアメリカでトランス脂肪酸の規制が決定したことに始まります。

 

次の文章は農林水産省のHPからの抜粋です。

 

「FDA(アメリカ食品医薬品局)は、2015年6月16日に、部分水素添加油脂をGRAS(一般的に安全と認められる)の対象から除外する規制を決定しました。この規制は、2018年6月18日に始まります。」

 

また、FAO(国連食糧農業機関)は、エネルギー当たり1%以上のトランス脂肪酸を摂取し続けると心臓病のリスクが上がると発表しています。

 

つまり、2018年の6月からアメリカで始まるトランス脂肪酸規制のニュースによって、日本でもトランス脂肪酸の体への悪影響について注目が集まっているということです。

 

実際、トランス脂肪酸が多く含まれているマーガリンの日本での売上は、そのニュースの影響で2割近く減少しているようです。

 

これを受けて、雪印や明治などの大手メーカーは脱・トランス脂肪酸の方向へ動き出しています。

 

それでは、このトランス脂肪酸とはそもそも何なのでしょうか?

 

 

トランス脂肪酸とは

 

トランス脂肪酸とはいかにも人工的な添加物のように想像しがちですが、

 

実際は、牛肉、羊肉、乳製品などにもともと含まれる天然の栄養素です。

 

ですので、牛乳にもチーズにも微量に含まれています。

 

しかし先ほど触れたように、トランス脂肪酸にも種類があります。

 

トランス脂肪酸には、大きく分けて天然のものと人工のものがあるんです。

 

天然型は、反芻動物の胃の中でつくられるもので、乳製品や牛肉、羊肉に含まれています

 

牛 羊

 

一方で人工のトランス脂肪酸は、油脂を加工・精製する際に生み出されます

 

 

今回アメリカで規制されたのも、油脂を加工した「部分水素添加油脂」です。

 

この「部分水素添加油脂」の中に含まれるトランス脂肪酸が体にとって有害ということのなのです。

 

そして、この「部分水素添加油脂」はショートニングやマーガリンを製造するときに、植物油を液体から固体にするために使用されています。

 

ショートニング

 

ですので、「部分水素添加油脂」を添加したショートニングやマーガリンには注意が必要です。

 

一方で、天然型トランス脂肪酸については、通常の摂取範囲では健康上のリスクは認められていません。

 

要するに、トランス脂肪酸にも人工のものと天然のものがあり、健康への悪影響で問題になっているのは「部分水素添加油脂」に含まれる人工のトランス脂肪酸なのです。

 

なので、天然のミルクやバター、チーズなどの製品に微量のトランス脂肪酸が含まれているからといって、摂取を避ける必要はありません。

 

では実際にこれら乳製品にはどのくらいのトランス脂肪酸が含まれているのでしょうか。

 

 

チーズに含まれるトランス脂肪酸

 

下の表は、食品安全委員会が公表している、国内に流通している乳製品のトランス脂肪酸含量です。

食品 平均含量(g/100g)

トランス脂肪酸の種類

マーガリン(平均) 部分水素添加油脂由来
ショートニング 13.6 部分水素添加油脂由来
マヨネーズ 1.24 部分水素添加油脂由来
牛乳 0.09 天然型
ヨーグルト 0.04 天然型
チーズ 0.83 天然型
バター 1.95 天然型

参照:チーズを科学する(チーズプロフェッショナル協会)

 

これを見ると、チーズ100gの中には、0.83gの天然型トランス脂肪酸が含まれているのがわかります。

 

そもそも天然型であり安全であるということに加え、量に関しても極微量です。

 

例えばスライスチーズ1枚(18g)中に含まれるエネルギー当たりのトランス脂肪酸を計算すると、

 

 0.83 × 0.18 × 3.4kcal / 2200(kcal) = 0.023%  

 ※2200kcal=日本人の平均摂取エネルギーで計算

 

この数字は、FAOが基準にしていた、エネルギー当たり1%という数字を大きく下回り、ほぼ無視していいレベルであることがわかります。

 

 

まとめ

 

つまり、チーズに関して言えばトランス脂肪酸はまったく気にしなくていいと言えます。

 

 

もちろん、バターや牛乳などに関しても同様です。

 

また、マーガリンも現在大手メーカーのものは既に部分水素添加油脂を使わずに製造されているので、パッケージを確認して購入すれば問題ないでしょう。

 

ただし、ショートニングには注意すべきです。

 

菓子パンなどの成分表記をみると、意外とショートニングが多く使われています。

 

もちろん、まともな企業であれば商品も今のこうした状況に対応したものに変えているはずですが。

 

山崎製パンのHPを見ると、使用しているマーガリンやショートニングを使った商品でも、従来のものよりもトランス脂肪酸の含有比率は大幅に少なくなっているようです。

参照:山崎製パンHP

 

このように、企業側も生み出す商品が安心安全で健康的なものである重要性は当然認識しています。

 

その流れに拍車をかけるためにも、わたしたち消費者は意識的に安全でからだに優しい商品を選ぶようにしたいですね。