エポワス

最終更新日:2018/12/21  

エポワス

 

もしあなたがお酒好きなら、濃厚なチーズを食べると自然とお酒を欲してしまうはずです。

 

そんなお酒を呼ぶチーズの代表格が「エポワス」です。

 

エポワスとお酒をちびちびやりながら楽しむ幸せは、一度味わったら癖になるでしょう。

 

今回は、そんなお酒好きな方必見のエポワスの魅力と楽しみ方をご紹介します。

 

 

 

エポワスの基礎知識

 

エポワス

 

チーズの分類:ウォッシュ

産地:フランス(ブルゴーニュ地方)

原料乳:牛

固形分中乳脂肪:最低50%

 

フランス・ブルゴーニュ地方でつくられるフランスを代表するウォッシュチーズです。この辺りは、世界的に有名なワイン産地でもあり、ロマネコンティなどの高級ワインも造られています。

ブルゴーニュ

ウォッシュチーズとは、その名の通り、チーズを塩水で洗いながら熟成させるチーズです。

特徴的なオレンジ色は、洗いながら熟成させることでリネンス菌という納豆菌の一種が表皮に繁殖し、オレンジ色の粘液を出すことで染まります。

エポワス 表皮

さらにエポワスは、ブドウの搾りかすでつくるブランデー「マール・ド・ブルゴーニュ」で表皮を洗いながら熟成させるのが特徴です。これによって、濃厚で力強い特有の風味が表れます。

 

 

エポワスの名前の由来

 

ブルゴーニュ地方、コート・ドールと呼ばれる丘陵地にあるエポワスという村の名前に由来します。

 

 

エポワスの歴史

 

16世紀初めに、修道院で造り出されたのではないかと言われています。その後修道士たちは、地域の農民たちにエポワスの製法を伝え、盛んに造られるようになります。

エポワスの最盛期は19世紀で、ナポレオン1世は、ジュヴレ・シャンベルタン(ブルゴーニュ産の赤ワイン)に合わせて味わい、美食家ブリヤ・サヴァランは「チーズの王」と呼んでいました。

1815年のウィーン会議の余興で行われたチーズコンクールでは2位を獲得(1位はブリ・ド・モー)。

1900年ごろには300を超える生産農家があったそうです。

ところが、第一次世界大戦の勃発とともに衰退。第二次世界大戦直前には、生産農家は25軒以下になり、1950年にはわずか2軒まで減少します。

そこで、エポワスの消滅を危ぶんだロベール・ベルトー夫妻は、エポワス復活に向け動き出します。まだエポワスをつくることができる年配の農婦たちからエポワスづくりを学び、1957年、伝統製法でつくるエポワスのチーズ製造所を設立。生産至上主義に逆らって、昔ながらのこだわりの製法でエポワスを復活させました。その後、同じ製法にこだわってエポワスづくりをする職人も増え、1991年にはAOCに認定。

今もエポワスはファンを増やし続け、年間生産量は1400t弱まで拡大しています。

 

 

エポワスの製造

 

①35℃の温めたミルクに乳酸菌を入れ、16時間以上かけて凝固させる。

②凝乳はカットせずに型に入れてホエイの排出を促す。

③熟成(工程の初めには週に2回塩水で洗う。3週間ほどたったら洗う回数を増やし、塩水にマール・ド・ブルゴーニュを徐々に加えていく。最後はマール100%で洗いあげる。)

※マール酒で洗うことで、独特なうまみと香りが生まれ、また殺菌効果もあると言われている。

※通常、ウォッシュチーズはアナト―という天然の色素で色味の調整をするが、エポワスはアナト―色素の使用を禁止されている。

 

 

エポワスの切り方

 

基本的にはスプーンですくって取分けます。

写真では真ん中からスプーンを入れていますが、チーズは外側から熟成が進むので実際は外側から取るようにしましょう。

 

 

エポワスの保存方法

 

ウォッシュチーズは乾燥によって表皮が硬くなりがちなので、ラップでしっかり包みます。

 

ラップもまめに交換しましょう。

 

 

エポワスの食べごろ

 

エポワスは熟成の状態によって、味わいは大きく変化します。

熟成の若い状態では、生地はムチムチと弾力があり、濃厚さの裏にミルクのやわらかな甘みが感じられます。

熟成が進むと、生地はトロトロの状態になり、刺すような強い風味と塩味も強くなってパンチのある力強い印象になってきます。

ベストはトロトロになる少し手前と言われています。

エポワス 食べごろ

これは好みの問題なので、味見しながら好みの状態を見つけてみてください。

ちなみに熟成を早めたい場合は、一日何時間かでも室温に戻してあげると熟成の進むスピードが上がります。

もちろん、食べる30分前には室温に戻すこともお忘れなく。

 

 

エポワスの食べ方

 

味わい深い風味としっかりした旨味があるので、シンプルにそのまま食べるか、ライ麦パンなどにのせて楽しみましょう。

熟成が進み過ぎた場合は、クリームに溶かしてソースにしたり、グラタンに入れるといつもと一味違った味わいを楽しめます。

 

 

おすすめ通販アイテム

上でご紹介した、エポワスを消滅から救ったベルト―社のエポワスです。

 

クオリティも安定していて確実に満足できます。

 

 

エポワスと相性の良い飲み物

 

チーズの中でも特に濃厚でパワフルなチーズですのである程度の風味の強さがある飲み物がおすすめです。

お酒なら、同郷のブルゴーニュの赤ワイン。

ブルゴーニュ 赤ワイン

日本酒もよく合います。また、焼酎、ウイスキーなど蒸留酒との相性もおすすめ。

ノンアルコールなら、コーヒーが良く合います。意外ですが、エポワスの鼻に抜ける特有のフレーバーとコーヒーのロースト香が違和感なく調和します。

コーヒー

 

 

最後に

 

現在では世界中にファンのいる王道チーズですが、一度は存在すら消えてしまう危機を経験していたとは驚きです。

 

このチーズはこれまでどれだけ多くの人々を幸せにしてきたことか。

 

ベルト―夫妻にただただ感謝です。

 

エポワスは個性が強く最初は近づきにくい存在ですが、知れば知るほど魅力にはまるチーズです。

 

チーズ好きでまだエポワスの味を知らないあなたは絶対試すべきチーズのひとつです。