最終更新日:2019/04/02
ゴーダチーズは今や世界中でつくられている人気チーズです。
でも、「ゴーダってよく聞くけど、実際どんなチーズなの?」
そんな疑問をお持ちのあなたのために、ゴーダチーズの特徴や作り方、歴史から食べ方やおすすめゴーダまで、ゴーダを楽しむための基礎知識をたっぷり解説します。
馴染みのあるチーズだからこそ、ゴーダを知ればよりチーズが身近になるはずです。
Contents
チーズの分類:セミハード
産地:オランダ(南西部)
原料乳:牛
固形分中乳脂肪:最低48%
ゴーダは今や世界中でつくられていますが、発祥はオランダです。
現在もオランダから大量のゴーダが輸出されています。
ゴーダには熟成の若いタイプと長期熟成したタイプがあります。
熟成の若いものは、生地に弾力がありモチモチとした食感。
酸味は穏やかで甘やか。クセのない食べやすいチーズです。
熟成が進んだゴーダは、色はより濃く、生地は締まって硬くなります。
味わいには旨味とコクがより感じられるようになり、長く複雑な余韻が楽しめます。
ちなみに、オランダのチーズは表皮をロウでコーティングしたチーズが多く、ゴーダもそのひとつです。
基本的には黄色いロウで包まれていますが、18か月以上熟成させたゴーダは黒いロウで包まれています。
オランダ・ロッテルダム近くの小さな村の名前に由来します。
オランダ語では「ハウダ」と発音します。
オランダチーズの歴史は古く、紀元前まで遡ります。
ある考古学者が紀元前200年頃のものと予想されるチーズ製造の道具を発掘しています。
オランダはかつては大小の湖沼が点在する湿地帯が現在の国土の約3分の1を占めていました。
開拓が進んだのは12~13世紀頃。最初は開拓した土地に小麦などの穀類を栽培していました。
しかし、地盤沈下が進み穀物が出来なくなります。そこで、この地に適した酪農への大規模な転換が行われ、本格的な酪農製品の生産が始まります。
ゴーダチーズは13世紀にオランダ南部の街ゴーダで生まれています。
15世紀ごろになるとオランダのチーズはヨーロッパでの評価が高まり、輸出も増大。
チーズ自体も輸出に向くタイプを積極的に生産し、長期保存や輸送に耐えるように改良します。
1668年にはオランダ各地に計量所が設立されます。
チーズ農家はそこにチーズを持参し、重量と品質の検査を受けてチーズの取引を行います。
現在でもゴーダやアルクマール、エダムといった街で夏場に毎週開かれている市場で、チーズの計量ショーが行われています。
オランダチーズは日本ともつながりがあります。
1692年鎖国中、徳川綱吉にオランダ産のエダムとゴーダが献上されたという記録が残されています。
このことから、日本で最初に食べられたチーズはオランダ産だったとも言われています。
現在でもオランダではチーズの生産を盛んに行っていて、年間生産量は世界5位を誇ります。
また、オランダは特に輸出に力を入れており、年間輸出量はドイツに次いで世界2位です。
ゴーダと名の付くチーズは現在世界中で作られていますが、その「ゴーダ」の定義は作り方に由来します。
その作り方の一番の特徴となるのが「カードウォッシング」という工程です。
カードウォッシングとは、その名の通りカード(凝乳あるいは凝乳からホエイを除いたもの)をお湯で洗う工程です。
フランス語では「デラクトザージュ(乳糖除去)」とも呼ばれているように、カードから乳糖を減らすのが目的です。
具体的には、カードから分離したホエイの一部を容器から抜き、代わりにぬるま湯を注ぎます。
これによってホエイに含まれる乳糖の濃度を薄め、雑菌の餌を減らすことでチーズの腐敗リスクを減らし保存性を高めることができます。
また、乳糖が減ることで乳酸菌の働きも穏やかになるため、カードのpHは高めになります。
その結果、カードの収縮は弱くなり、水分を保った弾力のあるしっとりとした食感に仕上がります。
ゴーダチーズの特徴である弾力のある質感と酸味の穏やかなマイルドな味わいはカードウォッシングの工程を組み込んだ作り方から来ているんです。
ゴーダチーズの作り方の流れは次の通りです。
①ミルクを温め、乳酸菌と凝乳酵素で凝固させる
②凝乳をカットしホエイの排出を促す
③ホエイの一部を容器から抜いてぬるま湯を注ぎ、カードをお湯で洗う(カードウォッシング)
④型詰め後、プレス機でプレスして成形
⑤加塩・熟成
参考として、ゴーダチーズの作り方の動画はこちら
ゴーダチーズのようなセミハードタイプのチーズは、ナイフや包丁でカットします。
皮はロウでコーティングされているため食べられません(リンドレスゴーダという皮のないブロック状のゴーダもあります)。
ゴーダは部位による味の差異はほとんどありませんが、写真のように皮周辺は硬くなっています。
皮周辺の部分を切り分ける場合、なるべく各ピースに皮が均等に入るようにしましょう。
ラップか購入時のチーズセロファンで包んで乾燥を防ぎましょう。
購入後に大きな変化はありませんので、なるべく早く食べきりましょう。
ゴーダチーズは熟成期間によって味わいが異なります。
一般的に売られている若いゴーダは、マイルドでクセもなく加熱してもいい具合に溶けるので様々な食べ方ができます。
サンドイッチやサラダの具材として使うのはもちろん
シュレッドチーズと同様にトーストやグラタンにのせて加熱しても美味しいです。
ゴーダチーズは、大半のチーズ料理のレシピに使える汎用性の高さが魅力です。
ゴーダチーズの特徴はミルクのコクと甘み。
例えば、同じセミハードタイプのチェダーチーズを使うよりもゴーダを使った方が料理はよりリッチな味わいに仕上がります。
また、熟成したゴーダは、そのままで十分おつまみとして楽しめます。
旨味たっぷりの熟成ゴーダは、まさにお酒好きの友です。
ワインで合わせるならコクのある赤ワイン。
ワイン以外でも、ウイスキーやブランデー、ビールにも大変よくマッチします。
それでは、ゴーダチーズの魅力を感じられるおすすめチーズをご紹介します。
ゴ―ダと名の付くチーズは山ほどあるだけに品質もピンキリです。
ぜひこれからご紹介するゴーダを試してみてください。
オランダ産の500日以上熟成させたゴーダです。お酒のおつまみに楽しむならこちらがおすすめ。
ほのかにスモーキーな印象で、甘香ばしい独特の風味があります。旨味もしっかり乗っていて、ビールやウイスキーと特に好相性です。
ゴーダの魅力のひとつは、汎用性の高さとコストパフォーマンスです。
食べ方のバリエーションが広いゴーダチーズなら1キロ買ってもあっという間になくなってしまいます。
ゴーダといえばシュレッドチーズでコクを加える重要なチーズとして使われています。こちらは、オランダ産のゴーダをたっぷり使った人気のシュレッドチーズです。セルロースなどの添加物もなく高品質です。
世界中でつくられているゴーダですが、そのゴーダの定義は作り方に由来します。
上で述べたように、カードウォッシングという作り方によって、弾力ある質感とマイルドな味わいに仕上げたチーズです。
つまり、もっちりしていてクセがなく食べやすいのがゴーダの特徴です。
一方で、より生地が硬く旨味が凝縮した長期熟成のゴーダもまた魅力的なチーズです。
さらに、同じオランダ産でも農家製のゴーダや無殺菌乳を使ったゴーダも販売されています。
ゴーダという名前があらゆるところで使われ過ぎて工場製の均一なイメージが強いですが、実は熟成期間や品質も多様で、さまざまな顔を見せる魅力的なチーズなんです。
ぜひいろいろなゴーダを試してその魅力を実感してみてください。