スティルトン

最終更新日:2018/12/21  

スティルトン

 

世界3大ブルーチーズの中でおそらく最も知名度の低いチーズが「スティルトン」でしょう。

 

その知名度の低さからか、惣菜や料理のメニューなどでもゴルゴンゾーラやロックフォールに比べるとほぼ目にしません。

 

しかし、実際食べてみるとスティルトンが3大ブルーチーズと言われる理由が分かります。

 

もし目隠しで3大ブルーチーズを食べ比べて人気投票したら、スティルトンが一番票を集めるかもしれません。

 

この記事では、そんなスティルトンの魅力と楽しみ方をまとめました。

 

 

 

スティルトンの基礎知識 ~世界3大ブルーチーズの魅力

 

スティルトン

 

チーズの分類:青カビタイプ

産地:イギリス(レスターシャ―、ダービーシャー、ノッティンガムシャー)

原料乳:牛(殺菌乳)

固形分中乳脂肪:最低48%

 

スティルトンはイギリス産の青カビチーズです。

 

世界3大ブルーチーズの一つで、イギリスだけでなく、世界中で愛されているチーズです。

 

黄色味を帯びた生地にひび割れのようなブルーのきれいなラインが広がっています。

 

スティルトンは他のブルーチーズよりも水分量が少なく、つくり方の特徴からポロポロと崩れやすい生地です。

 

スティルトン 生地

 

バターのようなマイルドな風味が特徴の食べやすいブルーチーズです。

 

それゆえ、料理にも合わせやすく使い勝手の良さもスティルトンの魅力のひとつです。

 

 

スティルトンの歴史

 

 

 

18世紀、ロンドンから130kmほど北のスティルトンという村にあるホテルで提供されたチーズが評判を呼んだことから命名されています。

 

18世紀初頭、ある農婦がチーズをつくり、スティルトンにあるベル・インという旅館に嫁いだ妹にクリスマスプレゼントとして贈ったのが始まりと言われています。

 

その後、その旅館の主人であるクーパー・ソーンヒルが、そのブルーチーズを客に提供したところ大好評。

 

さらに1727年、この宿でチーズを食べた人が書いた「Tour through  England and Wales」という本の中でその美味しさを紹介したことがきっかけとなり一躍有名に。

 

スティルトンの名前の由来となりました。

 

その後、ソーンヒルは、1700年代半ばには毎週千個ものチーズをロンドンで販売するようになります。

 

ちなみに、いまでもイギリスではこのチーズを小さなポットに入れてクリスマスにプレゼントする習慣があるそうです。

 

1875年には小さな工場が設立されてそこで手作り生産を開始。

 

1910年には「スティルトン・メーカーズ・アソシエーション」が登録商標となり、生産地を現在の3州に限定。

 

これが今もスティルトンの品質を保っている重要な動きだったとされています。

 

その後、スティルトンはイギリスのチーズでは少ないPDO認証を取得し、今も伝統を守った上質なスティルトンがつくられ続けています。

 

 

スティルトンの製造方法

 

①ミルクに青カビ菌、乳酸菌、凝乳酵素を加え、ミルクを凝固させる

②ホエイを輩出したカード(熟成前のチーズの塊)を一晩寝かせて熟成させる(通常行わないこの工程をすることで滑らかなバターのようなテクスチャーが生まれる)。

 

③カードを小さくカットしたのち、専用の鍋に入れて手作業で塩と混ぜ合わせる。

(通常は成形後、何度かに分けて表面に塩を擦り込みますが、スティルトンは成形前のカードに加塩する珍しい方法をとります)

 

④ステンレス製の円筒形の型にパラパラになったカードを入れ、カードの自重でゆっくりホエイの排出を促す。

 

⑤熟成させます。約6週間後、チーズに長さ18~20cmほどの針を刺し、内部に空気を送り均等に青カビを繁殖させる。

 

 

スティルトンの切り方

 

ナイフや包丁でカットします。

 

スティルトンは組織の水分が少なくボロボロと崩れやすいのでハンドリナーという針金でカットするのもおすすめです。

 

 

 

スティルトンの保存方法

 

青カビタイプは光に弱く、組織が脆いのでアルミ箔で包んで保存します。

 

他のブルーチーズよりも水分量は少なく日持ちします。

 

スティルトンは購入してから熟成の変化はほとんどありませんので、早く食べるほど美味しく楽しめます。

 

 

スティルトンの食べ方!マイルドな味わいで応用範囲の広いブルーチーズ

 

スティルトン 食べ方

 

そのまま食べても美味しく楽しめますが、マイルドな味わいなので料理にも使いやすいという魅力があります。

 

サンドイッチの具材としてパンにのせたり、キッシュやタルトにも。

 

スティルトン タルト

 

生クリームに溶かしてソースにしたり、ヨーグルトと合わせてサラダドレッシングにしても美味しいです。

 

スティルトン パスタ

 

マイルドな味わいなだけに、いろいろな食べ方ができるのがスティルトンの魅力のひとつです。

 

 

通販で手に入れるおすすめスティルトン

 

 

スティルトンのマリアージュ(チーズと飲み物の相性)

 

テイラー・トゥニーポート10年

スティルトンとの組み合わせで最も王道と言われているのがポートワインです。

ポートワインはポルトガル産の酒精強化ワインと呼ばれるもので、まだ糖分が残るワインの発酵中にブランデー添加して発酵を止め甘味を残すのが特徴です。

 

アルコール度数は20%あり、ワインよりも度数が高く甘味とコクがあります。

 

通常、小さなグラスで少しずつ食後酒として楽しみます。

 

ポートワインは日持ちがしますし少しずつ楽しむものなので、ある程度クオリティの高いものをおすすめします。

 

こちらのポートワインは10年以上熟成させることで、ベリーのフルーティーな印象と熟成による深みがバランスよく感じられるポートワインです。

 

スティルトンを楽しむにはピッタリのポートワインです。

 

グラハム トゥニーポート30年

こちらのポートワインは30年熟成させたポートワインです。

10年に比べると味わいにより深みがあり、余韻に残るフレーバーが各段に複雑でエレガントです。

 

値は張りますが、それに見合う満足感を与えてくれます。

 

食後にチーズとともに飲む一杯が本当に楽しみな時間になることでしょう。

 

スティルトンは良い意味でクセが穏やかなので、ポートワイン以外にも、お酒であれば何でも合います。

 

白ワインなら濃厚なシャルドネや甘みのあるもの、赤ワインは全般に合います。

 

ワイン以外にも、ビールやウイスキーとも良くマッチします。

 

 

スティルトンは3大ブルーの中ではマイナーでもファンが多いブルーチーズ

 

スティルトンは、イギリス人が誇るブルーチーズで、かのエリザベス女王も毎日欠かさずこのチーズを食べているとも。

 

毎日食べても食べ飽きない、スティルトンならではのマイルドでありながら複雑で特有のフレーバーが多くのファンを引き付けています。

 

クセも穏やかで多くの人に受け入れられやすいスティルトン。

 

あなたもぜひスティルトンを使って得意のレシピをつくってみてください。