最終更新日:2020/05/20
棚で一際目を引く「無垢」という個性的な名前のチーズ。
ITI(国際味覚審査機構)の優秀味覚賞受賞を表すロゴとワインのイラストがお酒好きの興味をさらに掻き立てます。
この記事では、森永乳業の「クラフト 無垢」とはどんなチーズなのか、商品概要や実際に食べた感想をご紹介します。
森永乳業の「クラフト 無垢」は、「日本の大人たちがまじりけなしにおいしいと思えるチーズの味を追求したい」との思いからつくられた商品です。
この「まじりけ」というのは「雑味」のことのようで、森永乳業独自の調査によると日本人は「濃厚さ」「うま味」「なめらかな食感」を求める一方で「チーズ特有の雑味が得意でない人が多い」とのこと。
そんな調査結果から、「雑味を抑えた味わい」を追求している点がこの商品の特徴で、「無垢」という商品名も「まじりけなしにおいしい」ことから来ています。
無垢は、「無垢製法」という独自の製法によってその雑味を抑えた味をつくり出しています。
その製法は通常のプロセスチーズのものと少し違い、乳化剤を使わずに濃縮レモン果汁が使われている点が特徴です。このレモン果汁を加えることでチーズの雑味を抑え、うまみを引き出し、さらになめらかな食感を生み出しています。
ちなみに、無垢の原材料名には、
と表示されており、レモン果汁以外にもいくつかの食品が添加されています。チーズの分類もプロセスチーズではなく「乳等を主要原料とする食品(チーズフード)」にあたります。
商品は、1個15gの4個入り。カロリーも他のプロセスチーズと同程度です。
チーズは写真のように引き出し状になった箱に収まっています。
各チーズを包むアルミフィルムも独特の切り口になっていて、手を汚さずに食べれるように工夫されています。
無垢の商品ラインナップは、「大人の熟成チェダー味」「大人の熟成ゴーダ味」の2種類です。
それでは、各商品の味わいと特徴を見ていきましょう。
生地は濃いめのクリーム色で一般的なプロセスチーズよりも若干オレンジがかっているように見えます。
香りは穏やかでチーズの香りにかすかにレモンの爽やかなニュアンスが感じられます。
食感は柔らかく、なめらかでねっとりとしています。口に入れると自然と溶けていくほどクリーミーな質感です。
熟成チェダーのうま味ののった濃厚な味わいが広がり、チェダー特有の酸味が全体を引き締め力強い印象です。
「雑味を抑えた」とあるように濃厚な味わいながらクセがなくクリーンで爽やかです。やさしいうま味が余韻として長く続きます。
味の濃厚さやうま味、なめらかさはチェダーと同様に強く感じます。
熟成ゴーダは熟成チェダーに比べて酸味が穏やかで甘くまろやかな印象。
ミルクの甘みとうま味が柔らかく広がるバランスの良い味わいです。
両者比較すると、熟成チェダーは濃厚な味わいとともに酸味がやや際立った力強さがあり、熟成ゴーダはまろやかで肉付きのある柔らかい印象です。
以上のように、無垢の特徴は、濃厚さとうま味を備えながら雑味を抑えた味わいです。
ところで、ここで言う雑味とは何なのでしょうか。ちなみに大辞林で「雑味」を調べると「飲食物に混じって、本来の味を損なう不純物の味」とあります。しかし、感覚的には何となくわかっても、結構主観的であいまいな言葉です。
この無垢を食べてチーズの雑味が具体的に何かを考えてみましたが、特徴として苦味や酸味などの尖った要素がうまく隠れている印象を受けました。
特に苦味が穏やかで、なめらかな食感と合わさり、濃厚なのにとても優しい味わいです。
また、チーズの風味も強すぎません。単調と言うと言葉が悪いですが、シンプルにチーズの良い風味だけが表れています。
このように、チーズの味わいから日本人が好む要素を際立たせ、それ以外をできる限りそぎ落としたような印象を受けました。
具体的には表現しにくいそのそぎ落とされた部分が無垢の開発者が考える「雑味」なのでしょう。
とにかく、濃厚なのに食べやすい、ワインにもしっかり合う美味しいチーズです。